イオンがビール不当廉売で自社の潔白を主張、販売価格値上げも拒否

イオン側には7月20日時点で「違反の事実はない」との判断が伝わっており、社内は安堵していたが、21日の報道内容では批判の矛先が自社に向かいかねないと危機感を抱いたようだ。実際、報道では卸がメーカーからの仕入れ原価を割る価格でイオンに納入していた可能性が指摘されている。ただこれは表現が行き過ぎで、メーカーからの仕入れ値に加えた卸の利ザヤでは、販管費など経費を賄い切れていないと認定されたのが実態だ。

国税庁調べの「酒類卸売業者の概況」によれば、2010年度の卸の売上高総利益率は平均5.2%、一方で同販管費率は7.9%。3年前より総利益率が若干改善しているものの、依然として粗利で経費を賄い切れていない状態が続いている。当然ながら営業利益段階で赤字である。

1990年代ごろからの価格破壊の波は酒類へも波及し、「メーカー希望小売価格から2~3割引き」をうたうディスカウント店が台頭。2000年前後には卸業者はすでに慢性的な不採算状態に陥っていた。値引きに加え、多額の販売奨励金(リベート)がメーカー、卸の採算を圧迫するだけでなく、商品ごと取引ごとの粗利把握を困難にすると考えた大手ビールメーカーは2005年に建値制からオープン価格に移行、リベートも廃止した。

「その後は一時、ビールの値段が上昇した」(大手スーパー)というが、イオンは「消費者に説明がつかない」として、リベート廃止を理由にした値上げには応じなかった。自社で流通センターを立ち上げ、ビールメーカーの工場から自社トラックで商品を運び入れることで卸のコストを負担し、他社より競争力のある仕入れ価格を実現していると主張している(実体的には卸の“中抜き”に近いが、酒税法上は免許(蔵置免許)を持つ卸を介して取引しなければならないため、蔵置場所を提供しており、帳簿がいる)。 

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