ニホンウナギの危機、稚魚不漁で価格高騰 このままではウナギはほぼ絶滅?
結果、稚魚の相場はまさにうなぎ上り。不漁で高値だった昨年の1キロ当たり約80万円に比べても今年は200万円以上に上昇した。長引く不漁で将来見通しに対する懸念が増幅。養殖業者が専門店に卸す活鰻の価格も大きく吊り上がった。
理由は特異な流通構造にもある。ウナギの取引形態は市場を通さず相対が基本だ。養殖は鹿児島、愛知、宮崎、静岡の4県の業者で国内生産の9割近くを握っており、生産者側の価格決定力が極めて強い。
一方、川下ではウナギだけを専業で扱う中小の仲卸や専門店がひしめく。単品商売で代替が利かないため、ウナギの供給がいったんストップすれば経営が成り立たなくなる。生産者が高値を提示しても、その価格をのまざるをえない状況だ。「高値でも(生産者に)言われるがまま。絶対にノーと言えない」(東京の卸売業者)との声が少なくない。
それでも稚魚の高騰で国内養殖業者も疲弊し始めており、業界は総崩れの様相だ。水産庁は6月下旬、緊急融資策を発表するなど、ウナギの安定供給に向けた対策をようやく打ち出した。
「このままでは絶滅」
ウナギ高騰に対応するため、業界も自主防衛に走っている。
専門店で使われるウナギは180~200グラム程度の細いサイズが一般的。1尾で1人前のうな重の器に収まる大きさで使い勝手がよい。
これに対して、養殖期間などにより250~300グラム程度に育った太いウナギは専門店で切り分けにくく、加工用などに回されることが多かった。だが、今年は「専門店も太いウナギを使うようになってきている」(東京の卸売業者)。稚魚の減少に伴い細いウナギが少なくなっており、見栄えはやや悪くても太いウナギを使って、1尾で複数人前のうな重を提供するなどの工夫を始めている。