強まるマグロ包囲網、絶滅危惧種に指定も、欧州では不買運動も拡大中

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 カタールのドーハで3月に開かれる第15回ワシントン条約締結国会議。野生動植物の保護について協議するこの場で、初めて大西洋クロマグロが検討対象となる。3分の2以上が合意すれば、「絶滅するおそれがある生物」として国際的な商取引がいっさい禁止される。クジラやウミガメと同じ扱いだ。

その発信源は、人口わずか3万人強のモナコだった。地中海を望む高級リゾート地は、マグロの重要な輸出国でも輸入国でもない。にもかかわらず昨年10月、ワシントン条約事務局に大西洋クロマグロの全面禁輸を正式提案した。「モナコ皇太子が資源枯渇の現状を危惧して提案した」とされる一方、国内の水産関係者はこう口をそろえる。「環境保護団体の働きかけが影響している」。

トロの大量生産が資源枯渇を招く

欧州ではクロマグロの不買運動が広がっている。グリーンピースなどの環境保護団体が見本市に出向き、企業展示を妨害するのは序の口。養殖場での抗議活動に加え、日本食レストランも厳しく非難。メニューから次々とクロマグロが消えている。

こうした動きを過剰反応と看過することはできない。大西洋クロマグロの大半は日本人が消費している。マグロの中でも高級魚のクロマグロは刺し身用として人気が高いが、今やその消費量の半分は大西洋産だ。

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