強まるマグロ包囲網、絶滅危惧種に指定も、欧州では不買運動も拡大中

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 地中海ではいけすに囲い込み、半年かけて餌を与え続けて全身トロへと変貌させる畜養ビジネスが盛んだ。同地域からの輸入量は、1998年の5・7万トンから2007年には3~4倍に拡大。おかげで、回転ずしで大トロが大量消費され、量販店でも安売りされるようになった。

だが、トロの大量生産は資源枯渇を招いた。日本や米国など48カ国が加盟する大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)では毎年、クロマグロの漁獲枠を決めるが、国ごとに資源保護の姿勢にはバラツキがある。

「06年は漁獲枠3・2万トンに対し漁獲量は約2倍と推計。管理は失敗しており、資源回復には今すぐ一時的な禁漁が必要」と世界自然保護基金(WWF)ジャパンは問題視する。

相次ぐ非難を受けて、ICCATは昨年11月の年次会合で10年の漁獲枠を前年比4割減の1万3500トンにまで減らすと発表した。ワシントン条約会議を前に、大幅削減の姿勢をアピールすることで、大西洋産の全面禁輸を回避したいとの思惑があるが、目標順守には畜養マグロの縮小は避けられない。

日本のマグロ養殖も漁獲規制の対象に

このまま漁獲規制が強まれば国内の供給量減少に拍車がかかるとみられるが、足元の国内相場はむしろ下落の一途をたどっている。

背景にはあるのは景気悪化による需要減だ。飲食店を中心に高価なクロマグロは敬遠され、在庫が膨張。「在庫は1年半分」(水産卸売業者)という状況下、昨年11月の冷凍マグロ価格はキロ当たり1661円と、前年同月比7割近くまで沈んだ。

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