株で儲けたいなら「勝ち馬」業界を要チェック 2016年の「株価上昇銘柄」はココから探索を!

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1位は電気・ガス業界で、秋号よりも新春号の予想営業利益は36.4%上振れしています。同様に2位は建設業の12.4%増、3位は空運業の6.0%増。以下、医薬品の5.1%増、情報・通信業の4.8%増、陸運業の3.3%増、不動産業の2.8%増、輸送用機器の2.3%増、その他金融業の1.3%増、小売業の1.0%となっています。

中でも注目したいのは、秋号で上振れ率1位だった医薬品が新春号でもさらに5.1%上振れしていることです。今期の予想増益率はなんと97.0%と、営業利益が前期比でほぼ2倍になる予想です。さらに、来期も5.3%増益を見込んでいるところも大きな評価ポイントです。

具体的に銘柄を見ていくと、武田薬品工業(4502)の今期予想営業利益は秋号1150億円から新春号1400億円に上振れしました。これは、採算のよい潰瘍性大腸炎薬が欧米で想定以上に好調なためです。また、田辺三菱製薬(4508)の今期営業利益は秋号700億円から820億円に上振れしました。多発性硬化症薬等のロイヤルティ収入が好調なためです。

電気・ガス業界は注意が必要

2位の建設は秋号よりも12.4%営業利益が上振れします。東亜建設工業(1885)は、秋号予想53億円から新春号115億円に急増する予定です。会社側も今期営業利益100億円に上方修正しましたが、完工が順調であることと不採算受注の抑制が進んでいることから、四季報担当記者は「会社の上方修正はまだ過小だ」と分析しています。

さらに、大成建設(1801)、大林組(1802)、清水建設(1803)のスーパーゼネコンもそろって秋号より新春号の予想が上振れしていて、建設業界全体が活況である様子が伝わってきます。

3位の空運業、6位の陸運業も原油価格下落に伴う燃料費安が業績の追い風になります。また、7位の不動産業、9位のその他金融業、10位の小売業などはいずれも非製造業ですが、低金利や失業率の改善などで上振れが目立ちます。

その点、新春号で上振れ率1位になった電気・ガス業は少々状況が異なります。今期こそ確かに大幅増益になるものの、来期は23.7%減益の予想になっているのが懸念材料。昨今の急激な原油価格下落が今期の増益に寄与しますが、一定期間をおいて電力料金などの引き下げを行う制度になっているため、来期は減益になるという見立てです。

このように、新春号で見ると、「勝ち馬」業界は医薬品、建設、陸運など内需産業に多く、これらの業界に株価上昇の見込める銘柄が隠れていることがわかります。

一方、新春号の予想利業利益が下振れしているトップ3は、石油・石炭製品の54.6%、鉄鋼の30.0%、海運業の25.0%です。この3業種は、実は秋号の下振れトップ3と同じメンツです。中国の景気減速や資源価格下落による業績への逆風が、ますます強くなってきているようで、投資対象に組み入れるときは十分注意する必要がありそうです。
 

広瀬 泰之 東洋経済 記者

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ひろせ やすゆき / Yasuyuki Hirose

経営コンサル、書店などの業界を担当。『会社四季報』編集長を経て、現職は同・編集部長

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