“並み”の上場企業になったので、もう一段レベルアップを--大谷喜一・アインファーマシーズ社長

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調剤薬局業界で圧倒的な事業展開をしてきたが、パートを含めた約5000人の社員は他社のことが分からないから、それに気付いていない。社員と社長の間で認識にギャップが生じてはいけないと考えた。

調剤過誤防止に資金を投じ、人材の育成に時間と労力をかけ、公正な人事を行っていることなど、自分たちの会社の良さを分かち合えるようなコーポレートアイデンティティ(CI)の再構築を行う。電通に依頼をし、8月1日から企業理念、マークを変える。オフィスや店舗の造作もそれに合わせて改装する。社長や役員は、周囲の眼を意識しつつ、すべての言動に注意をより多く払うようにしている。そうすることで、皆であらためて成長を目指そうではないかという気持ちに変化することを期待している。

--出店戦略に関しては、開業医を1カ所に集めた医療モールの開発で、有力なデベロッパーと手を組んだ駅前型が目立つ。 

法律の問題で病院経営はできないし、地主にもならないという考え方で、失敗もしながらビジネスを行ってきた。医療モールは調剤店舗の処方箋枚数を増やすための手段であって、そのためには良い医師を集めなければならない。

JRの駅ビルなどに開設する好立地の案件であれば、大学病院や医療法人のサテライトといったところが、激しい競争とはなるものの選んでくれる。

どんどん駅に出店しているのは理由がある。東京・西新宿の東京医科大前に1日1000人規模の患者さんが来る店舗がある。ここは、大学病院だけあって、電車などに乗り継いで通ってくる患者さんが少なくない。日本に数カ所しかない規模の店となっているが、後発医薬品(ジェネリック)の説明が長引くこともあって、待ち時間が増えた。そこで、患者さん自らがファックスで処方箋などの情報を自宅のある駅に最寄りの店に送信してもらえれば、処方薬の受け取りは最寄りの店頭で可能となる、といった仕組みを考えている。


東京・西新宿の東京医科大前の店舗

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