ファッション誌トップシェア、宝島社の女性誌マーケティングの秘密(上)
2010年10月には40代向けの女性誌『GLOW(グロー)』を創刊。それまで40代女性をターゲットとしたファッション誌は成功しない、といわれてきたが、「40代“女子”」というキーワードを掲げて新しい40代女性像を打ち出すことで、支持を集めることができた。創刊からわずか1年で部数を30万~40万部に伸ばすなど、現在、40代女性誌で読者数はナンバーワンとなっている。
そのほかにも、2000年に発行した『mini(ミニ)』では、これまでのファッション誌としてはファッションのメインアイテムとしては取り上げてこなかった「スニーカー、ジーンズ、Tシャツ」を三種の神器とした、モテボーイッシュスタイルという新しいジャンルを提案。
さらに、かわいい通勤服を提案するOL向け雑誌『steady.(ステディ.)』、ナチュラルなライフスタイルを提案する『リンネル』、男性ファッション誌ナンバーワンの『smart(スマート)』、そして「28歳、一生“女の子”宣言!」をキーワードに掲げる『sweet(スウィート)』を創刊している。
中でも、『sweet』はこれまでに3回の100万部突破の記録を持つ、日本でいちばん売れているファッション誌に成長した。日本能率協会によると、「20代の購買行動に最も影響を与える雑誌」であるという調査結果も発表されている、部数・影響力ともに日本一のファッション誌と自負している。
なぜマーケティングなのか
現在の当社の雑誌づくりの根幹となっているのが、「マーケティング」志向のビジネススタイルだ。当社がマーケティングに積極的に取り組むようになったきっかけは以下の3つがあった。
1つ目は、流通の変化である。流通の多様化により、従来の書店経由だけでなく、さまざまな方法で出版物が手に入るようになった反面、よい出版物を作っても、読者に気付いてもらいにくくなった。