ファッション誌トップシェア、宝島社の女性誌マーケティングの秘密(上)
雑誌収入は、媒体の販売売り上げと広告売り上げから成り立っており、それをうまく両立させることが、ビジネス上の必要条件になる。ところが、その頃、今後の広告市況が厳しいという予測が立てられており、各ジャンルでの発行部数がトップの雑誌でなければ、満足できる広告掲載が期待できないという状況であった。
そこで、社長が掲げたのが「一番誌戦略」だった。とにかく雑誌の1年間の利益をすべてプロモーション費用に充ててでも、発行部数を伸ばしていくという全社的な目的を設定、全社一丸となってマーケティングに取り組んだ。
マーケティング4Pの1つのProductについては、04年から全ファッション誌に人気ファッションブランドと提携したブランドアイテムを付けている。通常は、雑誌の“付録”と呼ばれているものだが、当社ではそれを“ブランドアイテム”と呼び、雑誌コンテンツの一部と考えている。企画、デザイン、制作は各雑誌編集部が担当し、雑誌ごとの読者のニーズや嗜好性を考えてアイテムを検討している。
雑誌とブランドアイテム
ブランドアイテムの導入当初は、なかなか海外の有力ブランドの協力はもらえず、従来から関係のあった国内ブランドとの提携が中心だった。海外ブランドは本国デザイナーの許可がなければ提携が実現しないため、編集者が直接、本国にプレゼンに出向いたこともあった。だだ、徐々に実績を上げ、すでに商品化されたブランドアイテムの品質が理解されるようになるにつれ、協力を獲得することができるようになった。
現在ではさまざまな企業から多数のオファーがあり、海外ブランドではファッションショーの最後にノベルティとして配られることもあるなど、評価をもらっている。ブランドにとっても新規顧客獲得につながっているようで、雑誌発売後に新規顧客が4000人も来店したというブランドの例もある。