ファッション誌トップシェア、宝島社の女性誌マーケティングの秘密(上)
2つ目に、出版物はプロモーションが効きやすい商品であるということだ。店頭での施策はもちろんのこと、メディアでのパブリシティも効果が出やすい。
3つ目は、書店の協力と理解を得ることができればベストセラーを生み出せるということ。書店員が商品を推薦してくれたり、愛着を持ち高く評価してくれれば、来店者の目につくところに置いてもらえ、売り上げが大きく伸びる。
出版社をメーカーと考えたときに、商品開発は編集部門、また、流通対策は営業部門が、販売促進は宣伝部門が中心になって行っていることがわかった。
一般的に、出版社は、企画や記事を作ることには非常に力を入れている。しかし、出版物を「商品」としてとらえて、よりその完成度を高めたり、商品として売るための戦略に力を注ぐことには関心が薄く、特に組織的なマーケティング活動は、ほとんど行われていないことが多い。
自社の業務フローをバリューチェーンに落とし込み、企画、編集、制作、営業、販促からアフターケアに至るまでの業務プロセスを詳しく分析してみると、編集と営業の負担が大きいことが判明した。そこを改善すべく、全社でのマーケティング活動が始まった。
根幹となるマーケティング会議
07年春、当社は、マーケティング会議をプロジェクト的にスタートさせた。各雑誌ごとに毎月行うこの会議では、社長をはじめ、書店営業、広告営業、編集長、宣伝、広報、ウェブなどの各部署の責任者が一堂に会しディスカッションを行う。
当社はもともと社内のコミュニケーションが活発な社風で、上下の垣根もない。こうしたことも組織横断的なマーケティング会議が機能した要因だろう。
会議では、それまで「文化的なもの」としかとらえられていなかった出版物を、「商品」としてとらえ直し、その完成度を高めるため、Product(製品)、Place(チャネル)、Price(価格)、Promotion(コミュニケーション)のマーケティング4Pについて話し合う。