なぜ「日本株は2016年も割安」と言えるのか スパークス・アセット阿部修平社長に聞く

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今後、ユーロ安が一段と進行するとしたら、欧州に投資するよりも、他の国・地域に投資した方が有利になる。しかし、前述のように新興国経済は当面停滞が続きそうだし、米国は株価がすでに割高水準にある。そう考えた時、投資先として日本が浮上するというわけだ。2016年の日本株市場には、これまで米国や欧州、新興国に向かっていた投資マネーが再び流入する可能性があるのだ。

もちろん、だからといって何の努力もなしで、世界の投資マネーがいわば消去法的に日本の株式市場に流入してくるわけではない。

「1億総活躍社会というアベノミクスのスローガンは、基本的に正しい。ただ、出生率を引き上げるにしても、あるいは介護離職者をなくすにしても、それらを実現するためには財政の裏付けが必要になる」。

民間の貯蓄をもっと活用せよ

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だが、周知のように日本は今、多額の財政赤字を抱えている。ではどうすればいいのか。

「官民連携によって、民間の貯蓄をもっと活用する仕組みを作る必要がある。今、スパークス・アセット・マネジメント投信でも、ファンドを通じてこの仕組みを構築している。この仕組みによってビジネスと雇用を創出し、きちっとしたリターンを出せれば、日本経済はもう一段の向上が期待できる」。

阿部氏は「2020年までに日経平均4万円」説を唱える。これは平成バブル時につけた最高値3万9815円(1989年末)を上回ることを意味する。

もし、本当に実現するなら、今の水準は株価上昇局面の最終局面どころか、まだ序章に過ぎないことになる。阿部氏の見方のように、2016年は日本が再び世界の株式市場のリード役になれるのだろうか。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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