なぜ「日本株は2016年も割安」と言えるのか スパークス・アセット阿部修平社長に聞く

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新興国だけではなく、米国との比較においても、日本の株式市場に投資する妙味が、相対的に高まりつつあるという。

なぜ日本株は米国株よりも魅力的なのか

「もちろん、米国が今後も世界のマーケットの中心的存在であることに変わりはない。ただ、株価水準を見ると、割高だ。基本的に株価は割安な水準からフェアバリューへと回帰していくプロセスで大きなリターンが確保できる。米国の株価は、すでに割安水準の訂正が終わっているので、これから先、2008年に起きたリーマンショック後のボトムを付けたところからの水準訂正で見られたような高いリターンは期待しにくい。だが、日本株については、まだ割安な水準にあるので、ここから先も水準訂正のプロセスが期待できる」。

さらに、欧州から日本に向かう投資マネーの動きにも要注目だという。

「ユーロ経済圏は2つの大きな前提をもとに成り立っている。ひとつは国境を超えて資本が移動する。もうひとつは国境を越えて人が移動することだ」。

このうち前者については、ギリシャ問題をきっかけにして疑念が生じた、と阿部社長は指摘する。「ユーロ加盟国は共通通貨、共通金利なのに、財政は統一されていない。その矛盾点を突く形で顕在化したのがギリシャ問題であり、それを契機に、ギリシャから資金が海外に流出した。ギリシャは経済規模が小さいので、何とか危機を乗り切れたが、これがイタリアやスペインなど、さらに大きな経済規模の国で起こったら、大変なことになっていた」。

加えて2015年は、フランスで1月に発生した「シャーリーエブド事件」をきっかけに、欧州でテロの恐怖が高まった。それは同国での11月の大規模テロで一段と増幅された。欧州では人の往来の自由によって、テロの脅威に常に脅えることになった。「恐らく、欧州経済の停滞は、ざっと見て今後10年は続くだろう。米ドル、円、ユーロの中で、ユーロは最弱通貨になる」。

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