新型山手線は「東京のアイコン」になれるのか

大都市には「象徴」となりうる乗り物が必要だ

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吊り手と座席にも「ラインカラー」を入れたのは画期的な試み

だが、E235系において、原点回帰であるかのようにウグイス色が内外に大胆に採り入れられたことには、好感を抱いている。

私は11月30日、大塚15時18分発の営業一番列車に試乗してみたが、最初は鉄道ファン、続いて夕方のラッシュの退勤客で埋まった先頭車内で際だったのが、まずウグイス色の吊り手であったのだ。

この部分にラインカラーを入れた例は、他には思い当たらない。吊り手は白、グレーか黒。あるいは優先座席を示すオレンジ色が、これまでの常識だった。そこへウグイス色を入れ、乗っている電車は山手線で間違いないことを明確に案内する。すぐれたアイデアだと感じる。

また、優先座席を除くシートの背ずり部分にも、明確にウグイス色を入れた。現在、JR駅の案内看板などでも、山手線はウグイス色で統一された案内が行われている。この内外の一体感は評価したい。

経済性やメンテナンスの面から、ステンレスやプラスチックの素材はそのまま。あるいは優先座席や乗降扉の黄色のように、機能上求められる配色にしなければならない部分が多いなか、客室内でもっとも数が多い部品である吊り手と座席を活用し、緑の山手線の復権を図ったのではないかとも思える。

前衛的な前面デザイン

一方、都会の一風景としても眺められる機会が多い外観も、非凡なものとなった。

完成予想イラストが公表されてよりこの方、前面デザインについては、さまざまなデバイス(スマホなど)に例えられ、賛否両論が展開されてきた。それだけ、既存のイメージにとらわれない前衛的なものであったということだ。時代の前衛にはさまざまな評価が下されて当然だ。

この外観も、緑の山手線が強く意識されているように感じている。

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乗降扉部分に入れられた縦のカラーラインは斬新だ(撮影:風間仁一郎)

乗降扉部分に縦に入れられた帯は、ホームドア設置を前提とし、ホームで待つ利用者にわかりやすいようにと配慮したもの。確かに今のE231系500番代では、腰の部分の帯がホームドアに隠れてしまっている。

しかし、列車というものは細長い。その長い方向に対し直角の方向に帯を入れるということは、列車が横方向へと走る流れを遮ることで、アクセントを加える手法でもある。斜めストライプ帯が話題を呼んだ国鉄185系あたりがルーツか。

E235系の走行シーンを眺めていると、確かに強弱のリズムを感じる。ぎらぎらした原色ではないウグイス色であり、かつグラデーションを境目に施すことで銀色との鋭い断絶を和らげている。このあたり、写真ではなく、実際に都市の風景の中を走る場面を見てほしいところだ。

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