新型山手線は「東京のアイコン」になれるのか 大都市には「象徴」となりうる乗り物が必要だ

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「緑の山手線」と親しまれた国鉄103系電車(写真:髙橋義雄 / PIXTA)

では、乗り物が東京の象徴になりうるかどうかと言われれば、その候補の最右翼は山手線をおいて、ほかにはあるまい。地上を走って都心部を環状に結ぶ鉄道はわかりやすく、渋谷・新宿・池袋、あるいは秋葉原。

そしてもちろん東京駅といった、都心の「拠点」をすべて結ぶ機能からしても、利用する、目にする機会は誰であれ多い。

その山手線だが、旧国鉄時代には最後の時期まで緑一色塗り(旧国鉄時代の呼び名は「ウグイス色」)の103系電車が使われていた。コマーシャルソングにも歌われた「緑の山手線」である。103系の車体は鋼鉄製であり、もちろん塗装が必要だ。そこで路線ごとに車体の色を塗り分け、案内や識別を容易にするアイデアである「ラインカラー」の一環として導入された。特に山手線は0系新幹線とともに、昭和時代の東京、大都会のイメージとして定着したものだ。

薄れていた「緑の山手線」のイメージ

ところが旧国鉄時代末期の1985年からステンレス製車体の205系電車が山手線に投入され、いささか様相が変わった。ステンレスは耐久性にすぐれることから、手間や費用がかかる塗装を省略することができる。

ラインカラーについては、前面、側面に帯の形で残った。しかしながら、やはりステンレス無塗装の銀色は目立ち、緑の山手線というイメージが、やや損なわれたようにも思われた。

205系に代わって、2001年から山手線に投入されたE231系500番代は、当時のJR東日本の標準車両であったE231系電車の山手線専用バージョンとして、走行性能などに改良を加えた電車である。E235系の量産車が出揃うまでは、このE231系車両が山手線の輸送を担うのだが、やはり車体はステンレス製で、緑色の帯を巻いていることにおいては、205系と変わりはない。銀色の電車なのである。

ところで、E231系500番代は、中央・総武緩行線や東海道本線など、他の路線に投入された同じE231系と比べ、前面デザインが変更されていることにお気づきだろうか? それほど大きな変化ではないので、日常的に見ていても「ちょっと白っぽいかな」と思う程度ではあるまいか。

山手線のイメージアップのため、独自のデザインが採用されたのであるが、いささか遠慮した感じでもったいないと、登場当時、私は思ったものである。座席の表地も山手線にちなんだ色が選ばれたが、濃緑色で、ウグイス色とは遠く、わかりにくかった。

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