台湾スマートフォン大手HTC、アップルとの特許紛争で窮地
「多くの人はITCの決定が出ればこの案件は終了だと考えているが、実際には調査段階の一つが終了しただけ。次に税関での判断がある。税関はどの機種を輸入禁止にするのかについて判断する」。米国系法律事務所の張亜樵氏は指摘する。
しかも、税関の審査手順には、ITCと違い、審査期間についての明文規定がない。ある機関投資家は「HTCにとっては審査完了の時期を把握することが難しく、発売時期が遅れる可能性が高くなる。それが米携帯電話キャリアのHTCへの信頼を損なうことになりかねない」と懸念する。
税関当局は、この件ではワシントンとカリフォルニアに弁護士や判事を含む専門チームを置いて審査している。今回のようなケースでは、公聴会が開かれ、アップルとHTCに出席を求める。
環球法律事務所の陳家駿氏は、「もしアップルが入念な準備をして有利な証拠を提出できれば、HTCは大きく不利になる」と話す。また、陳氏は「この紛争は米国企業にとって、金銭目当てではなくHTCを締め出すための戦いだ。だから、法律紛争とは別の要素がある」と指摘する。
サムスンやアップルに負けてしまう
この10年、台湾のハイテク企業が米国での知的財産権侵害を理由に紛争当事者になった事例は枚挙にいとまがない。旺宏電子(MXIC)、聯発科技(Media Tek)、茂電子(MOSEL)など、主なハイテク企業が紛争当事者になった。しかし、その多くが和解になり、実際に輸入禁止にまでなるケースは少ない。