台湾スマートフォン大手HTC、アップルとの特許紛争で窮地
陳氏によると、晶元光電(Epister)と瑞軒科技(Amtran Technology)の2社には過去に輸入差し止めの決定が出たが、HTCのように税関で差し止められるケースはそれほど多くないという。
瑞軒科技のケースは問題となったのが最終製品であり、今回のケースと似たところがある。この紛争は、09年、瑞軒科技が日本の船井電機から提訴され、ITCから敗訴の決定を受けたもの。しかし、米国への輸入禁止が発効する直前に、特許を買い取り、輸入禁止を回避した。
ただしHTCがこの手法をそのまま使えるわけではない。張氏は「瑞軒科研のケースでは、当事者である船井電機が決して『特許の巨人』ではなかった」と話す。HTCの相手はアップルであり、船井電機のようにはいかないことを示唆している。
バークレイズ証券のアナリストであるダール・ガイ氏によると、輸入差し止めとなったHTCの二つの新機種は、本来ならば、HTCの米国での販売に占める比率が今年半ばには35~40%なっていたはずだと推計する。HTCは売上高のうち米国が約30%を占めており、この発売禁止の影響は決して小さくない。
米国では今年7月サムスンの「ギャラクシーS3」、今年10月以降アップルの「アイフォーン5」が登場する。「HTCは機先を制するチャンスを失った」とガイ氏は語る。