成長速度2倍!遺伝子組み換えサケが食卓に 米当局の「食べても安全」は信用できるか
こうした動きに対して、FDAのバーナデット・ダナム動物医薬品局(CVM)局長は、「FDAはアクアバウンティが提出したデータと情報を徹底的に分析・評価し、承認に必要な要件を満たしていると判断した。これにはアクアアドバンテージの身を食べても安全であるという判断が含まれる」と、声明を出した。
またFDA関係者は19日、承認手続きが長くかかったのは、初の遺伝子組み換え動物の承認だったからだと明らかにした。その一方で、オバマ政権が政治的批判を懸念して承認を遅らせたのではないかとの見方もある。
FDA関係者によると、アクアアドバンテージの加工品に「遺伝子組み換え製品」の表示をする必要はない。これは遺伝子組み換え作物を使った食品の扱いと同じだ。ただしFDAは、メーカーが「遺伝子組み換え製品」または「非遺伝子組み換え製品」と表示する場合の文言についてガイドライン案を発表している。
市場に出回るまでには、少なくとも2年かかる
とはいえ、アクアアドバンテージが市場に出回るまでには、少なくとも2年かかる可能性が高い上に、数量は多くないだろう。
アクアバウンティのロナルド・ストティシュ最高経営責任者(CEO)は、「いろいろなことがあっただけに、承認を嬉しく思うし、ある意味で驚きだ」と語る。「承認が近いという知らせはまったくなかった」。
ストティシュは、具体的な上市時期を明かさなかった。ただ、生育が速いアクアアドバンテージでも、十分な大きさになるには約2年かかるから、今すぐ店頭に並ぶことはないとだけ述べた。
数量も限定的になりそうだ。今回承認されたのは、パナマにある養殖施設で育てられたものだが、ここは年間約100トンの生産能力しかない。米国の大西洋サケの輸入量は年20万トンだから、100トンなどわずかなものだ。ストティシュはパナマからの輸出に別途許可が必要かどうかは把握していないという。