成長速度2倍!遺伝子組み換えサケが食卓に

米当局の「食べても安全」は信用できるか

アクアアドバンテージがどのくらい売れるかも見通しがつかない。すでに大手スーパーの一部は、消費者団体の反対の声を受け、アクアアドバンテージを取り扱う予定はないと表明している。

自然界への流出を避けるために、アクアアドバンテージは内陸部に設置された養殖施設で育てられるだろう。アクアバウンティは、養殖施設を米国に建設することも検討しているというが、当面は、カナダのプリンスエドワード島で採取した卵を、パナマで孵化させ養殖する。パナマ以外の場所で養殖し、米国に輸出する場合は、新たな承認が必要だ。

しかしアクアバウンティが1年前に提出した書類によれば、同社は米国に養殖拠点を設けたい考えだ。また、最終的にカナダ、アルゼンチン、ブラジル、中国でもアクアアドバンテージを販売したい考えを示している。

遺伝子組み換え動物の開発が簡単に

アクアアドバンテージのFDA承認は、遺伝子組み換え動物の開発を後押しする可能性がある。近年は、「CRISPR/Cas9」と呼ばれる技術により、異なる種の遺伝子を組み合わせるのではなく、ゲノムを直接編集することが可能になり、遺伝子組み換え動物を作るのもはるかに簡単になった。

たとえば中国では、遺伝子編集により、筋肉量が多く毛の長いヤギがつくられた。スコットランドでは、アフリカ豚コレラに強いブタがつくられた。

研究者らは、アクアアドバンテージに関する消費者団体の懸念を一蹴する。パーデュー大学のウィリアム・ミュア教授(動物科学)は、自然環境に悪影響はないと断言する。「現在の野生のサケを中心とする産業のほうが持続可能性は乏しい。世界の海は乱獲がまかり通っている。(アクアアドバンテージは)安全かつ持続可能な代替策を提供する」。

FDAは、動物に組み込まれる遺伝子は医薬品に該当するという見解に基づき、遺伝子組み換え動物を動物薬品として規制している。これについては、新しいテクノロジーを古い枠組みで規制しようとする不適切なアプローチだという批判も多い。FDAの環境評価能力を疑問視する声もある。

(執筆:Andrew Pollack記者、翻訳:藤原朝子)

© 2015 New York Times News Service

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