北准教授によると、全国782大学のうち、約580大学でゴルフを授業に採り入れているという。狭いスペースでもスイングの指導だけならできるというメリットもあって、ソフトボールの倍以上。武蔵野美大では、年間180人がゴルフ授業を受けており、飛ばないボールを使って擬似ラウンドもしている。履修後のアンケートでも「ゴルフをまたやってみたい」という学生が多いようだ。
学生は初心者がほとんどなので「180人×580大学とすれば年間10万4400人が初めてゴルフをやっている」という。ゴルフの入口として、大学もゴルフ界にとってありがたい場所なのだが、授業で使う道具がそろっていない。
このとき、メーカー側の関係者からは企業が個別に新規ゴルファー創出のための企画に対してはクラブ提供をしているとしたが、大学については「1校30本必要として、580大学で1万7400本、10年かけて(全大学を)一新すると年間1740本。1社200本×9社になるがこれを毎年続けるのは大変」などと説明した。
登壇者からは「10年かけてなんて悠長なことをメーカーは言っていられるのか」という声が上がった。クラブの議論の前に、大学ゴルフの取り組みに対する教材の開発やティーチングプロの協力、練習場使用の検討など約束していた日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長は「(ゴルフ人口減に)困っているのはわれわれ。メーカーが将来のゴルファーを生もうとしていることにコミットしない、新しいゴルファーに投資をしないのでは長続きしない」と、厳しく指摘。今年3月に「ゴルフ市場再活性化に向けた新たな提案」をゴルフ業界に提示したが、まだまだ危機感が薄く、動きも鈍いこともあってのものだったのだろう。
授業用クラブ集め、2年で解決するのでは?
単に大学の授業用クラブ集め、ということでは、メーカーだけではなくゴルフ業界ですぐに解決できるのではと、簡単に思ってしまう。トーナメントの練習日などで、トッププロに契約メーカーがクラブを何本も持ち込んで選んでもらっているシーンはよく目にする。それを無駄とは言わない。
ただ、トッププロが自宅に1セットしかクラブがないとは考えられない。男女ツアー、シニアツアーの賞金シード選手(トッププロ)計140人がクラブ1セットずつ寄付したら、1820本。プロ用でも耐えられる力がある大学生もいるだろうが、シャフトの一部をメーカーが一般用に替えたら、メーカー側の計算した1年分は集まりそうだ。
男女協会に所属するプロの半分ぐらい、3000人が1セット拠出したら4万2000本。そのままのシャフトで使えたり、左利きだったりする選手もいるだろう。2年でほぼ新しいクラブになりそうと思うのは机上の空論だろうか。中古クラブ業界も参戦したら、たぶんすぐにでも大学の授業でパーシモンヘッドのクラブを使わなくて済みそうだ。
教育現場で、たぶんゴルフが好きな先生の小さな取り組みから始まったゴルフ授業なのだろうが、今のゴルフ業界にとっては「救世主」のような存在でもある。中高大学生が授業を受けてゴルフを嫌いになるようなことは、ゴルフ業界にとってありえない話だ。
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