中国人の声から探る“変調の兆し” 中国の不動産販売はサクラで活況を演出
サクラで活況を演出
上海市で不動産関連会社を経営する李小華さん(40)は、3年前と比べて収入が約20%減ったという。「最近は、完成したばかりの高級高層マンションに申し込みがほとんどないので“サクラ”を雇って長蛇の列を作る場合がある。業界内では誰もが知っている話だけど、それをあえて暴露しても国を含めて誰にも利益がないので、見て見ぬふりをしている。私も景気がいい話を客にするけど、見抜かれていると思う。富裕層の目は、すでに海外の物件に移っている。環境汚染や土地の私有ができないといった中国の不動産の問題点に気がついているからだ」。
湖南省在住で農業関連企業を経営する郭家明さん(仮名・35)は、「新幹線の路線拡充を期待して、農民が個人で借金をして建設機械などを買って着工を待っていた。だが、事故が起きてから政府は計画を大幅修正。使い道のない建設機械と借金が残って、生活は苦しくなった。出稼ぎを再開する農家も多い」とため息をつく。
学生も厳しい。厦門大学を卒業した張偉さん(仮名・22)は、「就職は厳しくなっている。大卒の平均給料は月収4万円といわれてきたが、それはそうとういい数字。3万円や2万円台も多い」。北京言語大学大学院卒の李佳燕さん(仮名・25)も、「コネ入社が増えている。私のような平凡でまじめなだけが取り柄のほとんどの学生は就職が難しい」。
公務員も危機を感じている。北京市在住で公安局勤務の唐紅さん(仮名・51)は「政治の腐敗が進んでいる。マスコミで報道されているのはほんの一部。急に豊かになったため『秩序』が伴っていない。自分を見失い、横暴な人が増えた。私もその1人だが……」。