(第52回)時価総額は巨大だが問題多い中国の銀行

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地方政府に対する融資は、「融資平台」を通じて行われた。これは、地方政府がインフラ投資を目的として設立した資金調達団体(地方融資プラットフォーム)だ。地方政府はインフラ投資を奨励されたにもかかわらず、銀行からの直接借入と債券発行は制限されており、また、予算にも厳しい制約があった。このため、融資平台を設立したのである。そして、土地を担保にした借入を増加させた。地方政府の資金は、銀行借り入れが79%。投資先は、都市整備、交通運輸、土地収用などだ。

融資平台向け融資の実態には不透明なところが多いが、不良債権化する懸念が高まっている。地方政府は、安く買った土地を高く売ることで財源調達してきた。その結果土地価格がバブルを起こしたのだが、それが崩壊すれば、担保価値がなくなるからだ。他方、インフラから収益を回収するには時間がかかる。
不動産バブルと不良債権の発生

日本経済新聞は中国の不動産開発の実態について、次のような事例を伝えている(連載「中国 一党支配はいま」)。

失脚した重慶市トップの薄熙来氏は、不動産開発を推進してきた。市政府系の投資会社の債務規模は、大手8社だけで2700億元(約3兆5000億円)に達した。ある住民は、補償なしに強引に立ち退かされ、不当な取り壊しだとして訴えたが、取り合ってもらえず、身柄を拘束された。

また、モンゴル自治区のオルドス市政府が、人口1000人余りのカンバシ区を人口20万人の新都心にする事業を始め、300億元(3700億円)を投じた。しかし、乱立するマンションは空室だらけで、「鬼城(ゴーストタウン)」の代表例となってしまった。「追突注意」の看板があるのだが、車は1台も走っていない。中央政府の引き締め策によって、ピーク時から価格が3~4割下がるマンションが続出した。

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