「故人の口座情報はスマホの中…」業者も白旗、遺族がパスワード不明で詰まないための"意外とアナログな工夫"

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スマホのロック解除は非対応とする企業のほうが多いくらいだ。対応してくれる企業であっても、最新機種は非対応と考えておいたほうがいい。発売から年月が過ぎた機種のほうが攻め手を見つけやすいためだが、近年は各メーカーのセキュリティ設計がより厳重になっており、5年前に登場した端末でもつけいる隙が一切見つかっていないということもある。

そうした事情から、料金も安くない。成功報酬の目安として、1台あたり数十万円といわれる世界だ。

2015年の暮れに象徴的な事件が発生している。カリフォルニア州サンバーナーディーノの障害者支援の福祉施設に武装した男女2人が押し入って銃を乱射し、14人の命を奪い、17人に重軽傷を負わせた事件だ。

犯人はその場で射殺され、うち1人が所持していたiPhoneを連邦捜査局(FBI)が回収。直ちに背景にある組織を洗い出すべく中身の解析を試みたが、そこから先に進めなかった。

iPhoneのパスワード(パスコード)は標準で4つ、もしくは6つの英数字を組み合わせた文字列を設定する。その入力を11回連続でミスすると中身が消去されたり、強制的にアクセス不能な状態に移行したりするので、おいそれとは手出しができない。

FBIは打つ手がなくなり、製造元のアップルにマスターキーを作って提供するように要請。これを拒否されたため、年明けに同社を相手取った連邦裁判を起こすことになった。

この訴訟が明るみになったことで、天下のFBIがたった一台のiPhoneを開くことができないという事実が世界中に知られることになったのだ。

この問題は誰でも当事者になる可能性がある。私は15年前からデジタル遺品の現状を調査しており、記者の立場ながらボランティアで100件以上のトラブル相談を受けてきた。そのなかでもっとも多い相談は、ロックがかかった故人のスマホに関するものだった。

スマホとクラウドの落とし穴

70代で同い年の伴侶を失ったある女性=Aさんのトラブルを例示したい。Aさんは葬儀に呼ぶ人をリストアップするために亡夫のiPhoneを開こうとしたが、パスワードが分からなかったため、孫の生年月日や愛犬の名前などを思いつくままに試すうちに、アクセス不能な状態に陥ってしまったという。

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