「電動推進機を採用した実験艇E-Watatsumi」クルマやバイクだけじゃない船も電動化の波、ヤマハのマルチパスウェイ戦略

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動力には、ドイツTorqeedo社製の製品を使用
動力には、ドイツTorqeedo社製の製品を使用(写真:筆者撮影)

心臓部とも言える推進機には、ヤマハ発動機が24年に買収したドイツの電動推進機専業メーカー「Torqeedo」社の製品を使用している。モーターとプロペラが一体となって水中に沈み込む構造で、回転する部品がすべて水の中にある。これにより、中程度の速度で走っている間はほぼ無音だという。風の音と会話や音楽だけで楽しむマリンレジャーは優雅そのものではないか。

ヤマハにはすでに「HARMO(ハルモ)」という別の電動推進ユニットもある。こちらはゆっくりと走る遊覧船などに向いており、Torqeedoはある程度の速度を出す船に使うという使いわけが想定されている。用途に応じた複数の技術を並行して育てていくという、ここにもヤマハのマルチパスウェイ戦略が表れている。

ヤマハの次世代電動推進機「HARMO」。出力は9.9PS相当の3.1kW、定格電圧は48V
ヤマハの次世代電動推進機「HARMO」。出力は9.9PS相当の3.1kW、定格電圧は48V(写真:筆者撮影)

実験を重ねることで得られた成果は具体的な数字にも表れている。実験当初と比べ、1時間全力で走るのに必要なバッテリーの量を、当初の4分の1程度まで抑えることができたというのだ。電力消費効率を4倍にすると言えば、電動モビリティの開発に携わる技術者が聞けば、なんとも羨ましい夢のような数値ではないだろうか。

ヤマハはボートショー会場内で、水素を燃料とするエンジン船外機も展示しており、ここでもマルチパスウェイを鮮明にしている。電動船の場合、バッテリーを水素燃料電池に置き換えることも理論上は可能だ。

将来への投資を惜しまない企業姿勢

ヤマハが展示してた水素を燃料としたH2ハイドロゲン船外機
ヤマハが展示してた水素を燃料としたH2ハイドロゲン船外機(写真:筆者撮影)

今回のボートショーにおけるヤマハ発動機のブースコンセプトは「いつまでも青き、海と人を。」である。青く美しい海を守り続ける人、そしていつまでも青く活力がある人――。そんな人たちを応援したいという思いが込められている。

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アメリカ市場における関税影響や需要停滞という逆風の中にあっても、ヤマハ発動機はワイヤレスステーションやコネクテッドサービス、電動推進、FRPリサイクル技術といった革新的な取り組みを着実に積み上げている。新興市場での需要拡大、国内教育拠点の整備、そして持続可能なマリンライフへの投資。これらは短期的な業績の波に左右されることなく、長期ビジョンの実現に向けて一歩一歩前進していくという同社の強い意志の表れである。

「信頼性と豊かなマリンライフ、海の価値をさらに高める」という長期ビジョンの実現に向けて、ヤマハ発動機のマリン事業は確実に歩みを進めている。

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小林 和久 自動車ライター・編集者

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こばやし かずひさ / Kazuhisa Kobayashi

1966年、福岡市生まれ。福岡大学工学部卒。物心付いた頃から自動車好きで、小学6年より月刊モーターファンを買い続ける。大卒後メーカーエンジニアとして就職するが三栄書房に転職。モーターファン編集部でエンジンはじめモノへの興味にどっぷり浸かり、チューニングカー誌optionへ異動になると自動車で楽しむコトに大きな意義を見つける。ドライブマップ、車中泊誌などの創刊編集長を歴任し、2010年よりWebメディア「クリッカー」を立ち上げ編集長を13年務めた。MG-B、初代プリウス、スバル360、キャンパー、バイクなど幅広い所有経験もあり、自動車周辺のすべてを伝えるのが生涯の目標。

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