「電動推進機を採用した実験艇E-Watatsumi」クルマやバイクだけじゃない船も電動化の波、ヤマハのマルチパスウェイ戦略

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もちろん、見た目だけの張りぼてではない。浜名湖などで走行実験を繰り返しており、展示前には汚れや破損箇所を徹底的に補修・清掃してから会場に持ち込まれたという、れっきとした「走る実験艇」である。

E-Watatsumiは電動推進との相性という観点からも、この船体形状に意味がある。一般的なモーターボートは高速で航行するとき、船首を持ち上げて水面から浮き上がるように走るが、最高速度では有利なもののそのぶんエネルギーをたくさん消費する。

電動船でそれをやると、大量のバッテリーが必要になってしまう。E-Watatsumiはあえてそれを避け、停止中も走行中も同じ姿勢で水に浮かぶ「排水量型」と呼ばれる設計を採用した。電気を無駄なく使うための合理的な選択だ。

排水量型の中でもマルチハル(複数の船体を組み合わせた船)のカタマランという形を選んだのには理由がある。2つの船体の間に広い空間が生まれるため、実験機器の搭載や将来的な使い方を見据えたレイアウトの自由度が高い。ヨーロッパではカタマランはマリンレジャーの定番だが、日本ではまだなじみが薄い。ここからヨーロッパ市場を意識した戦略も見えてくる。

新素材や太陽光パネルなどの採用

戦隊にはバサルト繊維を使用。ルーフ上には、太陽光パネルも敷き詰められている
戦隊にはバサルト繊維を使用。ルーフ上には、太陽光パネルも敷き詰められている(写真:筆者撮影)

船体に使われているFRP素材も革新的だ。一般的な船体に使われるガラス繊維のかわりに、「バサルト繊維」という鉱物由来の素材を採用している。鉱物由来の原料を繊維状にしたもので、強度は一般的なガラス繊維FRPより約2割高い。黒っぽい色が特徴的で、見た目にも独特の存在感を放っている。

ルーフ上には太陽光パネルが敷き詰められており、現在検討中のバッテリー容量であればおよそ丸2日で満充電にできる。週末だけ使うレジャー用途であれば、外部からの充電なしでも運用できる計算だ。

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