光回線の競争は「価格」から「使い方」へ 関電子会社ケイ・オプティコム藤野隆雄社長に聞く
NTTが圧倒的なシェアを誇るブロードバンド市場で、関西電力が100%出資する「ケイ・オプティコム」が猛追している。NTT西日本も「フレッツ光」の価格をNTT東日本より低い水準に設定するなど、戦々恐々だ。関西圏で光回線に参入し10年。すでに光回線市場でシェア3割を突破、増収増益を続けている。
低価格をウリに市場を切り開いてきた同社だが、市場が飽和した今、付加価値戦略で契約数増を目指す新しいフェーズに入った。市場開拓の経緯や、今後の戦略について聞いた。
--低価格で急速に市場を獲得してきたが、価格設定においては何を重視してきたのか。
競合の光回線の価格よりも、ADSLからいかに乗り換えてもらうかを重視した。2002年の光回線への参入当時、NTTの光回線は月額使用料が1万円超、当社は「eo(イオ)光」を6300円と格安で提供を始めたので、契約者の不満はなかったと思う。
だが、当時、主流だったADSLに比べて割高だった光回線は、爆発的な普及が難しかった。そこで、04年に4900円に値下げすると、急速に利用者が伸びた。導入当初は赤字だったが加入者増で黒字化を達成し、現在の右肩上がりの基調になった。
--加入者150万回線(12年3月末時点で130万回線)を目指す今期の課題は。
昨年夏まではテレビの地上デジタルへの移行とエコポイントが追い風となっていたが、それらが終わると、伸び率が半減するという事態になった。そこで、昨年12月から2月にかけて新しい料金施策を始めている。
100メガのコースでは従量制とした割安プランを導入。上限に達する前に顧客にメールで通知するなどのサービスも行っている。競合は家電量販店に高額のインセンティブを払い、新規顧客の獲得や当社からの乗り換えを図っており、当社も対抗に苦労している。そのため、3年以上の長期利用者への割引など、乗り換え対策も強化した。