ソフトバンクグループ、O2O市場ナンバーワンを狙う孫社長の新たな野望(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
ソフトバンクグループが描くO2O(オンライン・ツー・オフライン)の一連の消費行動。それが「認知/発見」「来店」「購入/決済」だ。その流れの中で「購入/決済」の部分を担うのが、モバイル決済ソリューション「PayPal Here」となる。
リアル店舗にPayPal Here導入を推進していくうえでの課題は何か。クレジット業界との関係はどうなるのか。
「クレジットカード業界では、JCBさんがPayPal決済に参加していないので、現在提案しているところだ。もともと私がYahoo! JAPAN在籍時、JCBさんとはO2Oも含めた提携の記者発表までさせていただいた関係もある。非常に前向きにご検討いただいている」
ソフトバンク社長の孫正義氏が描くO2Oのグランドデザインを最も理解する人物、ソフトバンクモバイル取締役兼、PayPal JapanのCEOに就任予定の喜多埜裕明氏(左写真)は、自信を持ってそう話す。
PayPal Japanが今回進めようとしていることは、あくまで現在まだカード決済を取り扱っていない店舗を対象とした導入であり、既存のカード取扱店の世界をひっくり返しに行くことでは決してない、という。
喜多埜氏は、PayPal Hereによるカード決済市場の広がりへの貢献を強調する。「本当は顧客のためにクレジットカード決済の導入を検討したいが、初期コストや通信料などの負担を考えると踏み出せていない、こうした中小の店舗向けに廉価で提供したい。クレジットカード利用自体を広げるものになる。全体論としては、クレジットカード業界の方々にも賛成していただいていると認識している」。
とはいえ、日本のクレジットカード業界が、躊躇する理由も理解している。