ソフトバンクグループ、O2O市場ナンバーワンを狙う孫社長の新たな野望(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
オフライン市場への導入が進み、PayPal Japanの影響力が大きくなれば、オンライン市場のプレイヤーも無視できない状況になる。そうなれば、楽天やアマゾンなどの他の大手ネット向けにも展開していきたいという。
「O2O市場で圧倒的ナンバーワンを取る。オンラインでもオフラインでも1つのアカウントで決済ができ、すべての買い物ができるようになる」--これが孫正義氏が描く最終的な絵だ。
「ただビジネスが成り立てばそれでいいのではない。みんなに“喜んでもらえる”というところが重要だと孫はいつも言っている。PayPal Hereの記者会見でも言っていたが、“昔は、財布なんてみんな持っていたのか”という世界を実現しようとしている。
財布の中にクレジットカードやらクーポン券やらスタンプカードやら、いっぱい入っていてぱんぱん。入りきらなくて別のカードケースにも入っていたりする。使うのに探さなくてはいけない。そういう現実を、スマートフォン1つにまとまってくることで、“ああ便利だな”と思ってもらえることが重要だ。
“PayPal Here”の三角形のカードリーダーもそのうちなくなる。NFCという世界に入ってくればスマホ自体が端末になる。昔は電車に乗るのに切符をわざわざ買っていた。それが、途中でカードを通すだけになり、今は財布や携帯で通れるようになった。こんなことは、20年前には想像もしていなかったことだ。
でもなったらとても便利。これらと同様に、われわれも、“便利にしてくれてありがとう”と思ってもらえることが、本当になりたい姿だ」
変化を次々と先取りし“便利だ”と思ってもらえる世界を作りたい。これが孫氏の原動力の重要な部分を担っている。
ソフトバンクグループは、PayPal Japanという決済の武器を加えることで、O2Oプラットフォームをより強力なものとし、O2O市場ナンバーワンの座を目指す。
(ITアナリスト・松浦由美子 撮影:尾形文繁、引地信彦 =東洋経済オンライン)
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