ソフトバンクグループ、O2O市場ナンバーワンを狙う孫社長の新たな野望(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
Yahoo! JAPANとの関係
ソフトバンクグループが、O2O市場で圧倒的ナンバーワンになるためには、Yahoo! JAPANとソフトバンクの連携強化は非常に重要な課題となる。
「Yahoo! JAPAN、ソフトバンクモバイルともすでにメディアを持っているので、連携を強めていく。Yahoo! JAPANのO2Oサービスである地図やグルメや路線の情報などは、当然今回のリアル決済のPayPal Hereの部分とうまくつなげれば、両社で力を強くできる。間違いなく連携する」と喜多埜氏。
地図など総合地理情報サービスである「Yahoo!ロコ」上に、PayPalが使えるお店の一覧を載せたり、お店のページにPayPalが使える旨の記載を入れたりといったこともしていきたいという。
PayPal Hereでの決済情報は、ユーザーの許諾をきちんと取ったうえで、Yahoo! JAPAN側とデータ連携していき、ユーザーに対して次回へのより良いレコメンドに生かすことを考えている。Yahoo! JAPAN会員とPayPal会員の連携や、Yahoo!ポイントとPayPalの連携なども検討している。
Yahoo! JAPANがすでに持つ、オンラインの決済サービスであるYahoo!ウォレットとPayPalは、機能として似ている部分がある。ここは、整理をしたうえで、何らかの提携が必要になるようだ。
7月から本格的に店舗へ営業を進めるというPayPal Here。PayPal Hereをオフライン市場へ普及させるために最も乗り越えなければいけない壁は何か。
「導入店舗が増えても消費者が利用しなければ意味がない。消費者が利用したくても導入店舗がなければ成り立たない。うまくバランスをとりながら、消費者と店舗に使っていただくか、ということが重要だ。クレジットカード加盟店に登録するのは今でもできるのにあえて行っていないような店舗に対して、導入していただくのはそれなりにハードルがある。安いとはいえ、PayPal Hereの1200円の読み取り機や5%の手数料でも、導入をためらうことはあるだろう。これがいちばんの壁かもしれない」と喜多埜氏は話す。