ゼネコン各社が最高益続出でも喜べないワケ

数年後に待ち受ける業界の危機とは?

工事の採算を表す、完成工事高総利益率(粗利益率)の通期予想値を建築部門と土木部門に分けて見ると、大手ゼネコン4社のほとんどが建築、土木とも大幅に改善する見込みだ。

鹿島は前期に建築、土木とも不採算工事の損失引き当て処理があったため、その反動で改善幅も大きかった。清水建設は土木の利益率が悪化するが、完成工事に占める土木の比率は2〜3割と低く、全体では建築部門の改善で大幅増益となる。

粗利益率については、「建築で8%、土木で10%」というのが、業界のコンセンサス。大成建設と大林組は、これを上回る水準になる。

良好な受注環境は今後も続く

高収益を謳歌するゼネコン大手各社。こうした状況は今後も続くのか。一般的に、土木は官公庁、建築は民間向けが多い。つまり、土木は公共事業に、建築は景気に左右される傾向がある。

公共事業は、補正予算の執行など、今後の見通しが不透明。だが、国土交通省が発注する工事は、労務単価の高騰分を含めた物価スライドでコストを認め、一定の利益を上乗せする方式だ。「工事の発注量が減少しても、ある程度の利益は確保できる」(大手ゼネコン土木担当幹部)。

一方の建築は、住宅投資や設備投資の動向に振り回されやすい。ただ、大手ゼネコンはひところのタワーマンションブームが一段落した後、低採算のマンション工事を手控えており、住宅投資の影響は小さいものとみられる。実際、大手ゼネコンが撤退したことで、「マンション工事は長谷工コーポレーションの独り勝ち」(業界関係者)という状態にあるようだ。

懸念があるとすれば、工場や倉庫、商業施設など民間の設備投資の動向だろう。「中国景気の先行きに不透明感が増してきたことから、特に製造業の設備投資は減少している」(業界アナリスト)。

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