ゼネコン各社が最高益続出でも喜べないワケ

数年後に待ち受ける業界の危機とは?

業界が最も懸念しているのは、人手不足への対応だ。今後、首都圏の大規模再開発の着工、2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連工事の発注が本格化する。が、技術者や熟練工など、現場の労働者は不足状態が続く。

ここ数年は、各社が定年退職者の再雇用に加え、協力会社でも現場経験のある高齢者を採用。何とか乗り切ってきたが、さらに厳しい現実を突き付けられるのはこれから。関係者からは「あと3年もすれば、団塊世代の労働者が現場から抜けていく」と懸念する声も聞こえてくる。

その後は労働者不足が加速度的に深刻化すると考えられる。「10年後には、現場の熟練工が現在の330万人から、230万人に減少する」(大手ゼネコン幹部)という予測も出ている。このままでは、人手不足から施工能力が限定され、その後の受注にも影響しかねない。

一段のコスト増が待ち受ける

高止まり状態の労務単価は、過去最高水準からみれば、まだ10%ほど低い。他方、「労賃を上げて労働条件を改善しなければ人が集まらず、建設業界は衰退しかねない」(清水建設幹部)、といった事情もある。今後も上昇する可能性は大きい。

つまり、足元は好業績でも、人手不足解消のための労務単価上昇によるコスト増が待ち受けているのだ。「2016年夏ごろから労務単価はもう一段上昇してくる」(大成建設の奥田秀一経理部長)と予想する関係者は多い。

好決算の裏側で着実に進む人手不足。業界の将来を左右する大問題を前に、ゼネコン各社は「最高益」と喜んでいる時間はない。

「週刊東洋経済」2015年11月28日号<24日発売>「核心リポート05」を転載)

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