新卒採用スケジュール、6月解禁にも疑問符 経団連は2年連続で変更する迷走ぶり

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一方、6月への前倒しでマイナスの影響を被るのは、公務員や教職志望の学生だ。

公務員試験は6〜8月が多く、民間企業の選考時期と重なってしまう。4月解禁では、民間企業の内定、いわば滑り止めを確保して、公務員試験に臨むことができたが、今度はそれができない。公務員試験の終了後では、ほかの学生に後れをとる。

教職課程を履修している学生の教育実習は多くが6月なので、その期間中は企業の選考を受けられない。現4年生の中には、就活を優先して、教員免許取得をあきらめた学生がいる。来年はこうした学生がさらに増加するだろう。

実際は経団連加盟企業も前倒しで動く

実際に現3年生の就活はどうなるのか。

人事領域の調査を手掛けるHR総研が8月に行った調査によると、多くの企業が3年生を対象に今年の12月から来年2月にかけてインターンシップを行う。面接開始時期のピークは来年3〜5月だ。

経団連加盟企業でさえ事実上、6月以前に採用を開始し、就活全体が経団連のルールよりも前倒しになりそう。各大学も夏休み明けから、3年生を対象に就職セミナーを開催している。6月選考にも問題があることや、企業、大学の実際の動きを勘案すると、現2年生の就活では、結局、4月選考に戻るという結果になるのではないか。

「週刊東洋経済」2015年11月28日号<24日発売>「核心リポート03」を転載)

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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