中学生がピザを食べて病院搬送…実は恐ろしい「急性塩中毒」の正体。高血圧だけじゃなかった塩の摂りすぎの問題とは【医師が解説】

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■高齢者に多い低ナトリウム血症

ここまでは過剰摂取による問題を取り上げましたが、ここからは足らなすぎによる問題をご紹介します。

血液中のナトリウム濃度が136mmol/L未満に低下する「低ナトリウム血症」もまた、高ナトリウム血症と等しく命の危険を伴います。

一度に大量の水分を摂取することで低ナトリウム血症は発症しますが、診察の現場でよく目にするのは、利尿薬の使用者や、食べる量が減った高齢者です。まれにSIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)など、ホルモン分泌の異常でも起こることがあります。

低ナトリウム状態は高ナトリウム状態とは逆に、細胞の中に水が流入して細胞が膨らむことが問題になります。それが脳で起こると「脳浮腫」となります。前述の通り、脳は硬い頭蓋骨に囲まれているため、腫れ上がった脳は自らを押しつぶして呼吸停止や心停止を引き起こします。

塩分は「マネジメント」が大事

塩分摂取量の目標値は、男性7.5g未満、女性6.5g未満ですが、日本人は平均で1日約10gの塩を摂っています。慢性的な塩分の過剰摂取が、脳卒中や心臓病を招く事実は変わりません。減塩を目指すことは、生活習慣病のリスクを減らすためにも重要です。

一方で、健康のために大切なことは、年齢や環境などによって、塩分摂取を上手にマネジメントすることです。

塩分は、私たちの体という精密なシステムを動かす「電力」です。皆さんに意識していただきたいのは、減塩という妄信ではなく、状況に応じた対応です。

例えば、食が細くなった高齢者では塩分不足による低ナトリウム血症が、ふらつきや転倒、認知機能低下の隠れた原因となっていることがあります。高齢の家族がいる場合、「よかれと思っての過度な減塩」が、逆に高齢者の命を削っている可能性に注意を払う必要があります。

心当たりがあったら、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。そのうえで低ナトリウム血症が疑われた場合は、適切な塩分摂取について管理栄養士などの食事指導を受けることが大切です。

普段は食塩の目標値(1日あたり男性7.5g/女性6.5g)を意識した食事を心がける、運動時や夏場の高温時の激しい発汗では、水分だけでなく適切な電解質の補給を行う(スポーツドリンクで摂取する場合には、糖分の過剰摂取には気を付けること)などは、心に留めておいてください。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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