逆風に苦しむ野村ホールディングス “国内頼み”のほころび
野村ホールディングスの株主総会が6月27日に開かれるのを前に、1人の個人株主による100項目もの株主提案が話題になっている。内容は「野菜ホールディングス」への社名変更など一般的な理解を超えたものが多い。一方で、「取締役の責任軽減について定めた定款を削除する」といった、近年収益が悪化し株価が大幅に下落したことに対する経営陣への批判がにじむ。
世界的な金融危機の影響もあって野村の業績は低迷。特に海外部門は苦戦を強いられている。そこで、2011年に打ち出したのが、海外部門の人員圧縮を主柱とする総額12億ドルのコスト削減策だった。
「これからも選択と集中を進めていきます」
4月下旬に開かれた12年3月期決算発表の席で、財務担当役員はこう締めくくった。海外部門のコスト削減を着実に実行に移すことが「選択と集中」なら、それはリーマン買収の後処理と受け止められる。
野村が経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア部門、欧州・中東部門を相次いで買収したのは08年。名実ともに国際金融市場のメインプレーヤーの一角を確保するための戦略だったといえる。だが、拡大するはずの海外部門は赤字を計上し続け、グループ全体の業績は低迷。株価も急降下した(図)。