逆風に苦しむ野村ホールディングス “国内頼み”のほころび

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グローバル路線の挫折がささやかれる中、「野村は国内営業を強化して穴埋めしている」と金融庁幹部は見る。海外の不振をカバーするため、国内営業に過剰なバイアスがかかっているというのだ。

たとえば、投信販売では「手数料稼ぎを目的とした回転売買を行っている」という批判が広がった。回転売買とは証券会社が顧客から手数料収入を得るため、投資家に頻繁に売買させること。金融庁が回転売買と判断すれば、行政処分を受ける。

批判の高まりを受け、金融庁は証券各社に対し顧客が購入した投信をどの程度の期間保有しているか調査した。関係筋によれば、他社と比べて野村の保有期間は短かったという。だからといって回転売買の勧誘営業をしたか即断できない。それは金融庁、証券取引等監視委員会も百も承知だ。ただ「なぜ保有期間が短くなるような商品を売るのか」(金融庁関係者)という疑問は消えない。

それだけではない。野村が現在取り扱う投信の本数は、700超に上る。投信商品が多いのは野村に限った話ではなく、「顧客の多様なニーズを調べて商品性を改善していった結果」(野村)という説明は理解できる。通貨選択型商品の投入で通貨別に商品が増大した面もあるが、それにしても、あまりに多い投信本数は、顧客が投信商品を乗り換えていく過程で積み上げられたようにも見える。その中には、米国の投信市場における定番のコア商品のようなものは見当たらない。

市場の信頼を守れるか

野村は国内市場では現在も断トツの強さを誇る。預かり資産は3月末72兆円と他社を大きく引き離し、リーマンショック前と遜色のないレベルに回復した。特にセカンダリーマーケット(発行済みの有価証券を売買する市場)での存在感は圧倒的で、それが公募増資や社債発行など引き受け分野での強さにもつながっている。

一例が、昨年12月にセブン銀行が東証一部上場に際して行った普通株とオーバーアロットメントの合計7740万株の売り出しである。

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