ディズニーがアジアで「クルーズ」にかける理由。3〜4泊に凝縮された"稼ぐ設計"と、家族旅行の新しいかたち

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現在、ディズニーの客船は拡張フェーズにある。ディズニー・アドベンチャーとオリエンタルランドが計画している日本向けディズニー船を除くと、現時点で運航中の船は7隻、さらに2031年までに4隻の新造船が増える予定だ。

これは日本にたびたび寄港しているセレブリティ・クルーズやシルバーシー・クルーズとほぼ同規模の約10隻体制となる計算で、ブランド特化型クルーズとしては異例の規模拡張である。

3〜4泊でも“満足度が落ちない”設計

アジアで投入されるディズニー・アドベンチャーは、その戦略をさらに一歩進めたモデルである。3泊・4泊中心で、基本は洋上滞在型。巨大な船内にキャラクターゾーン、屋内アトラクション、年齢別キッズ施設、全天候型エンターテインメント空間を配置し、船そのものを目的地にしている。

パンフレット
パンフレットの中にはくわしい船内のエリアやエンターテインメント、キッズクラブなどの案内があり、見るだけでも気分があがる。ディズニー・プリンセスたちと一緒にお菓子やお茶を飲んで、お話や歌が聴ける体験も(予約制/有料/3〜12歳まで)(写真:筆者撮影)

大型船だからこそ空間分離ができ、混雑を分散でき、多様な過ごし方を同時に成立させられる。短期でも満足度が落ちない理由はここにある。

母港のシンガポールも戦略的な選択だ。アジア有数のハブ空港を持ち、各国からのアクセスが良い。短距離フライトで到着できるため、長期休暇でなくても利用しやすい。

さらに「ロイヤル・カリビアン」などの大型客船も母港として運用してきた実績があり、港湾・ターミナルのインフラが整っている。大型船の定点配船に適した環境であり、フライ&クルーズとの相性も良い。

日本でも新しい動きがある。オリエンタルランドがディズニーブランドのクルーズ事業に参入予定で、陸上テーマパークで培った運営力と顧客基盤を海へ拡張する計画だ。土地という制約のあるテーマパークに対し、クルーズは“動くリゾート”であり、体験価値を広域に届けられる。

長期休暇でなくても行ける。準備の負担が少ない。子どもも大人も満足できる。ディズニーのクルーズ戦略は、「いつかの特別旅行」を「次の休みに実現できる体験」へと変える試みでもある。

日数を削り、体験を濃くし、満足度と収益を両立させる。その設計思想が、いまアジア市場で本格的に動き始めている。

藤原 暢子 クルーズ・ジャーナリスト/編集者

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ふじわら・のぶこ / Nobuko Fujiwara

長崎県生まれ。クルーズ専門誌『CRUISE』の編集長を10年間務めた後、フリーのジャーナリストに転身。25年以上にわたり国内外のクルーズ業界を取材し、150隻を超える客船に乗船。約100カ国の港町を歩き、クルーズがもたらす観光と地域経済、サステナビリティの関係を追い続けている。陸の旅では得られない「客船ならではの人との出会い」を大切にしている。悩みは、愛犬の豆柴をクルーズに連れていけないこと。https://www.cruise-media-lab.com

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