ディズニーがアジアで「クルーズ」にかける理由。3〜4泊に凝縮された"稼ぐ設計"と、家族旅行の新しいかたち

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ディズニー・クルーズラインの最初の船が就航したのは1998年。フロリダを拠点にカリブ海クルーズからスタートした。家族向けに特化した設計、キャラクター体験、年齢別に分かれたキッズ施設、食事の質の高さなどで他社と明確に差別化し、価格は高めでもリピーターを増やしてきた。

実を言うと筆者も、就航年の「ディズニー・マジック」と翌年デビューした「ディズニー・ワンダー」に乗船し、ガイドブック制作に携わった経験がある。

出航地のフロリダまでは遠かったが、船は意外なほどクラシックな意匠でまとめられていた。ミッキーは過剰に前面に出るのではなく、装飾の中にさりげなく「隠れミッキー」が潜んでいる程度の上品な演出。レストランは日替わりでテーマの異なるダイニングを巡るスタイルで、食事そのものがエンターテインメントになっていた。

テーマパークではなかなか見られないミッキー船長主催のパーティーがあり、船内ではキャラクターやプリンセスに出会う機会も多い。ショップのグッズもデザイン性が高く、品質感があった。

ディズニーといえば子ども向けの印象が強いが、大人専用レストランや静かなラウンジ、スパも用意されており、ハネムーンや大人だけの乗船でも満足度は高かった。現在は船隊も増え、設備も進化しているため、体験の幅はさらに広がっているはずだ。

その後、配船エリアは広がり、西海岸発のメキシコ方面、アラスカにも進出した。自然景観中心の航路でも支持を得ている。さらに地中海や北欧など欧州でも7泊前後のクルーズを継続的に実施してきた。

「目的地」より「体験」で選ばれる船

欧州クルーズは一般には寄港地観光が主役だが、ディズニーの場合は予約動機の構造が少し異なる。アメリカからの乗客も寄港地では下船して観光を楽しむが、「ディズニーの船に乗りたい」というブランド体験そのものが購入動機の中心にある層が厚い。運賃が他社より高くても、アメリカから空路で欧州へ渡って乗船する家族客が多かったとみられる。

目的地だけでなく、どの船で体験するかで選ばれていた点も特徴だ。ディズニーは早い段階から、目的地で売るのではなく、体験で売るクルーズ会社だったといえる。

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