衆院選で「爆勝」した高市首相だが、市場が信認する「秩序ある積極財政」は本当に可能なのだろうか

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それよりも問題なのは、「2年間に限り食料品を消費税の対象としないことについて、『国民会議』での検討を加速する」という公約だ。総選挙直前に、立憲民主党と公明党が合流を決めて「中道改革連合」となり、「食品の消費税を恒久的に0%とする」と公約したことに対する条件反射的な対応だったのであろう。結果的に選挙戦では、消費税をめぐる論戦は盛り上がらなかった。ただし同時に、「与野党のどちらが勝っても消費税は減税」という構図ができてしまった。

財源・外食産業・レジコスト……パズルを解けるのか

これで衆院選が「痛み分け」くらいに終わってくれれば、この問題も「なかったこと」にできたかもしれない。しかしここまで決定的な結果になったら、高市首相としても「やっぱり国民会議が『できません』と言うからやめました」とは言えないだろう。いや、真面目な話、これからどうすればいいのだろう。

あまりにも困難なパズルなのである。「食料品にかかる消費税を2年間だけなくす」のであれば、5兆円×2=10兆円の財源が必要になる。高市首相は「赤字国債は出さない」とも言っている。このおカネをどこから引っ張ってくればいいのか。

あるいは食料品だけ減税になると、外食産業をどうすべきかという問題が生じる。今なら持ち帰りは8%で、お店で食べると10%で、その差は2%で済む。食料品を対象外にすると、0%と10%に拡大することになる。お店で食べるよりも、スーパーで買って持ち帰る方が1割もお得になるのでは、レストランなどはたちまち干上がってしまうのではないか。

スーパーなどのレジにかかるコストの問題もある。1年かけてシステムを改修したとして、2年後にはそれをまた元に戻さねばならないのである。そのコストは誰が支払うのか。

タイミングの問題もある。仮に消費税の減税ができたとして、2年たった後に本当に元に戻せるのか。この国は毎年のように選挙が行われる。衆院選挙は、これだけ与党が勝ってしまうともうこれ以上の勝ちは考えにくいので、任期満了近くまで引っ張ることだろう。それでも来年春には統一地方選挙、再来年の夏には参議院選挙がある。「消費税を元に戻せる年」なんてありうるのだろうか。

ここへきて、減税している2年間に「給付付き税額控除」を導入して、本当に困っている人を救済できるようにする、という案も急浮上している。これができれば美しいシナリオになるけれども、個人資産の把握などシステムづくりには時間がかかる。いやもう、考えれば考えるほど、「ミッション・インポッシブル」なのである。

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