【春節】「日本への渡航自粛を勧告」「政府はロシア旅行を推奨」…。→それでも《中国人観光客》が日本に来るワケ
ある上海の大学教授は、こう嘆いていた。
「私たちのような体制内の人間は、やはり今、日本への旅行には踏み切れない。政府の呼びかけを無視するわけにはいかないのだ。しかし、体制外の個人が日本へ旅行に行くケースは依然として相当数存在する」
「かつて頻発した反日デモは、いまや隔世の感がある。日中関係が依然として冷え込むなか、なぜ中国では反日デモが起きなくなったのか。理由の1つは、政府が社会の安定を最優先していることだ。過去の反日デモは、民衆の感情を一時的に発散させる『出口』にすぎなかった。だが経済不況が深刻化する現在、何よりも安定が求められている」
「もう1つ言えるのは、民衆の愛国心が消えたわけではない、ということだ。ただ、それを前面に出して生きる余裕がなくなった。経済の先行き、仕事、家族、自分の将来――日々の重さが、政治的な感情を押し隠してしまっている」
昨年12月、筆者が中国に帰郷した際に現地で感じ取った対日感情は、かつてのものとは明らかに異なっていた。日本や「高市早苗」を批判し、揶揄する言葉はあっても、そこにかつてのような「恨み」は見えない。たとえ日本を批判しても、日本にはどこか好きなところもあると言う。
日本について語ることは、もはや特別な政治的行為ではなく、日常の雑談の1つに過ぎないようだった。反日デモを起こす気力そのものが、枯れてしまったかのように感じられた。
日本という旅行先の魅力も無視できない
さらに、中国人観光客には日本という旅行先そのものの魅力も無視できない。とりわけ富裕層は「モノ」よりも「体験」に価値を見いだす。
治安の良さ、交通の利便性、食文化、四季折々の景観といった要素は、政治状況とは切り離されて評価されている。特に円安基調が続く中、日本旅行は「コストパフォーマンスの高い海外体験」として位置づけられている。
そんな中での日本旅行は、思想でも主張でもない。ただの「生活の延長」に近い。清潔な街、定刻通りの電車、心身を温める温泉、安心して歩ける夜道……そこにあるのは、ニュースではなく体感だ。日本は「遠すぎず、疲れすぎない海外」として選ばれている。


















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