【春節】「日本への渡航自粛を勧告」「政府はロシア旅行を推奨」…。→それでも《中国人観光客》が日本に来るワケ
渡航自粛が呼びかけられる中でも、一部の中国人が日本を旅し続ける最大の理由は、中国人の旅行スタイルがすでに団体旅行から個人旅行へと明確に移行している点にある。かつての訪日観光は旅行会社主導の団体ツアーが中心であり、政府方針や外交関係の影響を受けやすかった。
しかし現在、日本を訪れる多くの中国人は、航空券や宿泊先を自ら手配する個人旅行者である。政府による「渡航自粛」の呼びかけも、彼らにとっては数ある判断材料の1つにすぎない。
そもそも中国政府の呼びかけは「渡航禁止」ではなく、「注意喚起」に近い性格を持つ。そのため、「政治は政治、旅行は旅行」と切り分けて考える個人客の動きを完全に止めることは難しい。
いま、日本旅行の主役は、中国の富裕層や若年層を中心とする個人旅行者へと移りつつある。国の呼びかけが耳に入っても、それがただちに旅の断念につながるとは限らない。団体客が激減する一方で、実利や体験価値を重視する個人客が市場を下支えする構図は、ますます鮮明になっている。
中国・広州在住で外資系企業に勤める30代のH夫妻は、今年の春節に5歳の娘を連れて日本を訪れる予定だ。彼らは毎年のように春節を日本で過ごし、今回も東京駅近くのホテルを選んだという。
「春節に日本へ行くのは、ただ静かにリラックスするためだ。今回は初めて娘を連れて行き、日本の清潔さや落ち着いた空気を感じさせたい。雪が見られるなら、雪景色も体験させてあげたいね。政府は渡航を控えるよう言っているが……私たちは、日本は危険どころか、中国よりも安全だと感じている」
夫妻は感情を交えることなく、淡々とそう語った。
「反日デモは隔世の感がある」
かつて日中関係が冷え込んでいた頃、中国各地では反日デモが頻繁に起きていた。とりわけ12年、尖閣諸島の国有化を契機に各地で発生した大規模な反日デモの光景は、今なお多くの人の記憶に残っている。しかし現在、そのような熱気に満ちた光景はほとんど見られなくなった。
かつて街頭を埋め尽くした反日デモの熱狂は、すでに過去の記憶となった。これは単に対日感情が好転したというよりも、感情の表出が抑制され、ナショナリズムが日常生活の中心的な関心事ではなくなったことを示しているのかもしれない。
経済の減速や雇用不安といった現実的な課題に直面するなかで、多くの中国人にとって海外旅行は政治的意思表示ではなく、生活の質を高めるための実利的な選択へと変わりつつある。


















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