「延命治療を拒否した母」「自宅で意識がなくなっていき…」 それでも"最期の3日間"が笑顔だったワケ

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「いい息子さんを生んでくれて、私にくださってありがとうございました」

そう言われて母親としての自分が感謝されたことに新鮮な喜びを感じ、靖人さんを出産してかわいがってきた思い出がよみがえってきて、自分と家族の今までの思い出を振り返ることができたそうだ。

「びっくりしたけれど、もう本当にすごく嬉しかったの」

節子さんは内堀さんに、今まで会った中で一番穏やかで、少し照れたような本当にかわいらしい笑顔を見せてそう語った。そして「楽になった気がする」とも言ったそうだ。

“穏やかな看取り”のカギを握るのは「家族力」

僕は、自分のベッドで最後の眠りについた節子さんに「ご苦労さまでした」と声をかけた。

それから、体を拭いて清めるためにお湯とタオルをお願いする。

「おい! お湯を汲んでこい!」

靖人さんが息子の龍平君に指示する。

「これでいい!?」

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龍平君が持ってきたのは、なんと深さが50㎝はありそうなステンレスのピカピカの寸胴鍋! お清めの場で洗面器以外のものを見たのは初めてだ。

聞けば、節子さんがせっせとジャム作りに精を出した鍋だとか。

龍平君のチョイスにあきれながらも靖人さんは、

「まっ、いいっかっ! どうせもうおばあちゃんが使うことはないんだし……。これで体拭いてもらうのも案外嬉しいかもね」

楽しそうに言って、ジャム鍋のお湯にタオルを浸したのだった。

この明るさが丸山ファミリーの持ち味だと改めて実感したのは、節子さんの葬式で述べた靖人さんの挨拶文を読ませてもらったときだった。

節子さんが家族と過ごした1カ月あまりの日々を愛情とユーモアたっぷりに紹介している。

穏やかな看取りのカギを握るのは家族力だということを、葬儀に参列して靖人さんのこの挨拶を聞いた人たちは感じ取ってくれたと思う。

次記事で、その笑いと涙の弔辞を紹介したい。→→【「父と母、最後の10分間」  延命治療を拒否した母がいよいよ…"ずっと頑固だった父"に言わせた「愛してる」の奇跡

萬田 緑平 在宅緩和ケア医、緩和ケア萬田診療所所長

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まんだ りょくへい / Ryokuhei Manda

1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。群馬大学付属病院第一外科に所属し、外科医として手術、抗がん剤治療、胃ろう造設などを行うなか、終末ケアの大切さを痛感。2008年在宅緩和ケア医に転身して緩和ケア診療所に勤務後、2017年、がん専門の緩和ケア 萬田診療所を開設。亡くなるまで自宅で暮らしたい人を外来診療と訪問診療でサポートする。

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