なぜ福岡市に世界の"旅する起業家"が集うのか 長期滞在の「デジタルノマド」 経済効果とお金以上の価値

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「最も大きな理由は、新しいカルチャーに出合い、新しい冒険をしてみたかったということ。

滞在先では仕事だけじゃなく週末に観光やスポーツも楽しみます。地平線から朝日が昇る。そのとき、同じ朝日でも国が違えば一つとして同じ朝日はない。

そんな体験が、自分の中の新しい感性に出合うきっかけになる。私にとって重要なことです」

観光とビジネスの境界を溶かす

このデジタルノマド、世界的に増加傾向にあるようだ。観光庁が昨年5月に発表した「国際的なリモートワーカー(デジタルノマド)に関する調査報告書」は、米国のデジタルノマド人口が2019年の7万3千人から、2024年には18万1千人に増加したという調査結果を紹介している。

日本でも政府は24年4月、「年収が1千万円以上」などを条件に最長で6カ月間の滞在を認める「デジタルノマドビザ」を開始。外国人技能実習生などとは違い、日本に知識や技術を蓄積するのが狙いだとされる。

いったい何が起きているのか。山梨大学教授で観光学が専門の田中敦さんは、「デジタルノマドの存在が、観光とビジネスの境界を溶かしている」と表現する。

 「コロナ禍でリモートワークが一気に普及したことで、『働き方と場所の関係』の境界線がなくなってきたことが前提として大きい。

その流れの中で現れたデジタルノマドという選択によって、その土地で『仕事をすること』と『生活者であること』との垣根がなくなり、未知の環境での生活における新しい出会いや交流が次のビジネスチャンスを生むこともあれば、観光や自分の生活を豊かにすることもある──そんなことがデジタルノマドたちの中で現実に起きているのだと思います」

出会いの中での、ビジネスチャンス。まさにエイドリアンさんはいま、欧州を中心に展開する自らのホテル向けブッキングエンジンを、日本やアジアでもビジネス展開したいと模索を始めている。

実はそのきっかけとなったのが、昨年訪れた福岡市だ。

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