人気の理由の1つは家賃の安さだ。いくら空き家が増えていると言われる今でも家賃1万円で40㎡ほどのなんでも好きにしていい空間が手に入ることはほぼない。一方、好きに使える空間があったらやってみたいことがある人はたくさんいる。
その意味では家賃や不動産価格の下落はある意味チャンスでもある。一般的には価格下落は悪いことのように捉えられているが、それにより多くの人にチャンスがめぐってくると考えると、そこから浮上していく、という地域や経済の立て直しもあるのではないか。
建物、立地も見逃せないポイント。無骨なようで愛嬌のある団地を学生から30代、40代と幅広い人たちが「かわいい」と評しており、古いモノを愛でる層が拡大していることが感じられる。
市街地からほんの少し坂を上がっただけなのに、街中とは異なる雰囲気のある、一画だけが別世界という立地も独特。屋上からは観光エリアのタワマンなどが望め、すぐそこは市街地なのだが、近いのに遠い感覚があるのは不思議だ。
私設図書館からパン屋、秘宝館まで入居
そんな面白さが評価され、満室になったわけだが、その人たちがやりたいことも実にばらばら。
12月頭の最新情報では金継ぎやモノ作りの教室、不動産会社のモデルルーム、木造建築を手掛けてきた建築家が趣味で改装するための部屋、私設図書室、パン屋、カフェ、キッチンスタジオ、美容院、音楽室、レトロ家具ショップに魔女の館、秘宝館(!)などとなっており、どれもそれぞれに個性的。居住する予定の人もいる。
懸案のライフラインはその後、11月末に電気は各部屋のブレーカー設置までたどり着いたが、住戸内の配線はまだつながっていない。そのため、共用廊下に設置されたコンセントを利用、延長ケーブルを部屋に引き込んで使っているとか。
その他のライフラインがいつ開通するか、不安要素はあるものの、入居者たちはさほど気にしていないようで、それぞれにDIYにいそしんでいる。早ければ来年早々くらいからいくつかの部屋はオープンする予定で、“廃団地”がどう変わるか、今から楽しみである。
掲載から約1年。ライフラインはその後、無事開通。2026年2月1日時点で3部屋が完成、カフェなどとして使われており、同月中にはさらに3部屋がオープンする予定。
さらに公に入居募集をしていなかった、緑に覆い尽くされていたB棟(2階建て10戸)にも2025年2月から個別に借りたいという人が現れ、3カ月で満室になった。
東京、山梨、大阪、山口など県外からの借り手が多く、一時は韓国からも予約が入ったそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら