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「67歳のときに肝臓がんの診断」 しかし延命治療を拒否した母…《"何もしない"という選択》をした彼女の真意

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  • 萬田 緑平 在宅緩和ケア医、緩和ケア萬田診療所所長
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「○○さんのお葬式の喪主の方から、『いっぽ』さんのおかげで家で看取ることができてよかったという話を聞きまして、ぜひ私の母も……」

いっぽの情報を葬儀場で聞いたという患者さんやその家族が来院するのだ。情報源は喪主挨拶や友人の弔辞、司会のナレーション、それから参列者のうわさ話である。

病院時代は患者さんの死は敗北であり、タブーだった。悲しみの涙にくれる家族に言葉少なく挨拶をして病室を出ると、そこで関係は終わった。

そういう経験がほとんどだった僕は、葬儀の司会者が、

「生前、○○さまは家族と緩和ケア診療所・いっぽのスタッフに支えられて、最後まで穏やかに自宅で過ごされて、住み慣れた自宅から旅立ちました」

こんなナレーションをしていたと聞かされたとき、本当に嬉しかった。

友人の弔辞では故人の思い出とともに自宅での看取りについて驚き、感銘を受けたということが語られる。

自宅でのんびりたばこを喫っていた。亡くなる2日前までおしゃべりしていた。子供たち、孫たちに囲まれて看取ってもらえて幸せ者だと思った――。

葬儀場で、故人のあっぱれの最後を家族が誇らしく語り、親戚友人たちは故人と家族を称賛する。それを聞いた参列者たちは自宅で最後まで生き抜くという選択肢があることを知る。

自宅での幸せな看取りの体験がこのように自然に広がっていくことを聞くと、僕はとても嬉しくなる。在宅緩和ケア医という仕事が必要とされているのだなあと、実感できる瞬間である。

「人生の最終章のシナリオ」を書くのは、患者さん本人

死を苦しく悲しみの涙にくれるものにしてはいけない。人生の最終章のシナリオを書くのは医者でも家族でもなく、患者さん本人でありたい。

そしてシナリオ通りに生き抜くことができるかどうかのカギは家族が握っているということを、多くの人たちに知ってもらいたいと思うし、これを伝えていくことも在宅緩和ケア医の仕事だと僕は思っている。

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【がん発症後8年目の春が過ぎ…】

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