サッポロを悩ます、「極ZERO」騒動のそれから 競合続々で発泡酒や新ジャンルが大苦戦

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アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリーといった競合が軒並み増益予想を維持する中で、サッポロの独り負けが目立つ。

サッポロの発泡酒と言えば、極ZEROだ。2013年6月にプリン体ゼロ、糖質ゼロという“ダブルゼロ”を武器に、健康志向を狙った、新ジャンルのビール類飲料として発売。1年弱で2億本を売り上げるヒット商品となった。

昨年7月、新ジャンルから発泡酒として再出発

昨年7月の再販売決起集会で「発泡酒になっても唯一無二の商品だ」と、自信を見せた尾賀真城社長(撮影:尾形文繁)

水を差したのが酒税を扱う国税当局だった。2014年6月に国税当局が、製造方法に関して情報照会すると、新ジャンルに該当しない可能性があるとして、サッポロは自主的に、販売を中止した。

2014年7月から、製造方法を一部見直し、新ジャンルよりも税率の高い発泡酒へと区分を変え、再発売した。

酒税法では、ビール類の税率を使用する原料によって決めている。ビールは原料に麦芽を3分の2以上使用し、副原料に使用するものを限定している。発泡酒は、麦芽の使用率が3分の2未満で、ビールとしては使用できない原料を含むこともできる。新ジャンルでは、麦芽や麦以外の穀類で作られるものと、発泡酒に麦由来の蒸溜酒などを加えたものがある。

2014年7月、発泡酒として再出発した極ZEROだが、ここで誤算が生じる。同年9月には競合する3社が揃って、プリン体ゼロ、糖質ゼロという“ダブルゼロ”の発泡酒を投入したのだ。

特に大きな打撃となったのが、今年1月にキリンが発表した、「のどごし オールライト」。極ZEROの失敗を尻目に、キリンは新ジャンルで“ダブルゼロ”を実現。発泡酒との価格差を武器に、健康志向ユーザーを取り込んだ。

競合の台頭によって、2015年の極ZEROの販売量は400万箱(前期比31%減)と大幅に落ち込む見通しとなっている。

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