FX個人トレーダーのシンボルは「ミセス・ワタナベ」から「FX戦士くるみちゃん」に変わるのか
まだ10代だったくるみは、同じ金額を取り戻すと誓い、口座を開設できる年齢になると独学で為替トレーダーになる。しかし、動かない相場やマージンコール(追加証拠金請求、追い証)、のめり込みやすい自身の性格と格闘するうちに、1回の取引が成功も破滅も決めかねないギャンブルの世界へと急速に引き込まれていく。
ロングとショートのポジション、通貨ペアといったトレーディング用語を分かりやすく説明する作品にもなっている。
新たな支持層
私はまず、このくるみちゃんが若者の間でのFX取引の急増を反映しているのではないかと考えた。確かにこうしたトレーディングへの関心はある。
オンライン証券の広告は日常的に目にするし、現金預金の価値がインフレで目減りする中で、新NISA(少額投資非課税制度)は投資全般への人々の関心を大きく高めてきた。
オンラインギャンブルや予測市場が違法の日本では、FXは一種の賭けを楽しむ手段の一つになっている。私はカフェやコワーキングスペースで、ノートパソコンを広げる若い投資家をよく見かける。
漫画はしばしば、こうした時代の変化を映し出す。女子高生が筋トレに挑む作品として2010年代にヒットした「ダンベル何キロ持てる?」は、フィットネスの流行が単なる減量から筋肉をつける方向へ移っていった時代背景を反映していた。
だがFXに関して言えば、データは私の推測を裏付けていない。日本経済新聞によると、09-24年度に30代以下の個人トレーダーの割合は50%から17%にまで低下した。くるみやミセス・ワタナベのイメージとは対照的に、実際のFX市場参加者の多くはもっと年齢が高い男性だ。
SMBCコンシューマーファイナンスの調査では、20代の男性で投資をしているのは3分の1にとどまり、女性では20%未満だった。投資先の大半は株式やインデックスファンドで、通貨は7位と、スニーカーやトレーディングカードをわずかに上回る程度だ。
くるみちゃんは、若者のFXブームというより、漫画やアニメの驚くほどの裾野の広さを示唆しているのかもしれない。日本では毎年、何千もの作品が発表され、パン作りや編み物、ポーカー、キャンプ、釣り、料理、さらには主に女性向けに書かれる男性同士の恋愛まで、どんな題材でもドラマに仕立て上げる力が培われてきた。
私が最初に読んだ漫画の1つは、「ヒカルの碁」だ。派手な戦闘の代わりに、盤上の白と黒の石の配置を巡って緊張感が生み出される。同様に、くるみちゃんは、主人公がよりリスクの高い賭けに倍賭けしていく中で、ローソク足チャートの動きを通じてドラマを生み出している。
遅過ぎるということはない。くるみちゃんは、FX取引に踏み出すことをためらわせるかもしれないが、新たな支持層を生み出す可能性もある。ヒカルの碁は囲碁の人気を押し上げ、バレーボール漫画の「ハイキュー!!」は、多くの子どもたちがこの球技を始めるきっかけになったとされている。
そうなることを期待したい。トレーディングの世界に触れる日本の若者が増えるのは良いことだろう。ミセス・ワタナベという呼び名の賞味期限はとっくに過ぎているのだから。
(リーディー・ガロウド氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、日本と韓国、北朝鮮を担当しています。以前は北アジアのブレーキングニュースチームを率い、東京支局の副支局長でした。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
著者:リーディー・ガロウド
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