以上をまとめれば、共通テストで示されたAIの圧倒的な成績がわれわれに突きつけているのは、「AIに人間が勝てなくなった」という単純な事実ではない。知的作業の分担構造が変化しているにもかかわらず、教育や試験、さらには実務の制度が、その変化を前提として再設計されていないという問題である。
いま問われているのは、AIに勝てるかどうかではない。知的作業において、人間と生成AIがどのような分業関係を築くべきか、そしてその分業を前提にどの能力を人間に担わせ続けるのか、を制度として定義できるかどうかである。試験制度の改革はその最前線に位置している。
人間が担当すべき分野は何か
新しい分業の具体像を描き、それを試験制度に反映させることは、決して容易な課題ではない。
例えば、計算はAIのほうがはるかに高速で正確に行えるとしても、人間が簡単な計算能力すら持たなくてよいとはいえない。同様に、AIが高度な翻訳を行えるからといって、人間が外国語を学ぶ必要がなくなるわけでもない。
どこまでを人間が担い、どこからをAIに委ねるのか。その線引きは、技術的な問題であると同時に、教育観や人間観に関わる問題でもある。
ただ1つ明らかなのは、現在の教育制度や試験制度がこの問いに本格的に向き合う前の段階にとどまっているという事実だ。共通テストで示されたAIの成績は、その遅れを可視化したにすぎない。
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