「この脚本がコンクールに応募されたら、真っ先に落ちる」…『果てしなきスカーレット』はなぜ感情移入できぬ作品に?プロに解説してもらった
だが、作中で侘助自身が「大好きな栄に認めてもらいたい」とそのまま発言することはない。「ばあちゃんならわかってくれるよな」「挽回しようとしてがんばったんだよ」などのセリフを通し、そのトーンや表情で栄に認めてもらいたかった気持ちを視聴者が理解できるように作られている。
さらには、侘助のスマホのパスコードが栄の誕生日だったこと。RX-7を廃車になるほどのスピードで走らせて、亡くなった栄のもとに駆けつけたこと。こうした描写から、直接言葉にしなくても、侘助がどれほど栄を大切に思っていたのかが真っ直ぐに伝わってくるのだ。
だからこそ、ラブマシーンの開発者というストーリー的には敵サイドの立場でありながら、一転して健二たちに協力する姿を受け入れられたのだろう。キャラクターの行動原理がよくわかり感情移入できるからこそ、本作最大の見せ場であるラブマシーンとのこいこい(花札)勝負やラストバトルを手に汗握って応援できるのだ。
キャラクターの言動への納得感があるからこそ、視聴後に「いい作品を体験した」と心地よい気持ちになれる。
ほんの少し観客に寄り添うだけで、評価が一転するはずなのに
本来なら、日本の長編アニメーション界の歴史に残る“傑作”だと評価されていてもおかしくなかった『果てしなきスカーレット』。ほんの少し観客に寄り添う要素を追加するだけで、酷評という結果は反転していたのではないだろうか。
アニメーション作品としての評価は決定づけられてしまったが、実写作品に近い本作は舞台や実写映画などでも楽しめるはずだ。これだけの世界観やキャラクターという下地があるのだから、2次作品の展開で評価が一変する可能性も秘めている。
『果てしなきスカーレット』がノミネートされたアニー賞は、現地時間2月21日に授賞式が開催される。ノミネートされている「インディペンデント作品賞」「監督賞」「脚本賞」を受賞できるのだろうか。今後のニュースに注目していきたい。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら