84歳女性が「断捨離しない」代わりにした"決め事"――樋口恵子さん「身近なものを手放すことはつらい、整理する気力も体力もない」から
家を建てたとき、連れ合いと私は40歳そこそこでした。当時の平均寿命は、男性も女性も80歳以下。ですから家の耐用年数が来る頃には、人生も終わっているだろうと漠然と考えていたのです。
でも、私は80歳を超え、体が老いるのと比例するかのように家も老いてしまい、ついには家の寿命を私の寿命が追い越してしまったわけです。その結果、我が家はおそろしい金食い住宅に。
家は人と同じで、寿命が近づけばあちこち故障します。修繕するには、思いがけない出費を強いられるのです。
一方、高齢期になると収入が減り、緊縮財政を考える人も少なくありません。高齢期と家の耐用年数が重なると、経済的にも大変なことになります。このあたりは、若いうちからしかと認識をしておいたほうがよさそうです。
相続税減税の特例を活用
家を建て直すというのは大事業です。それでも決断したのには2つ理由があります。
まず1つは、旧宅の耐震検査をしてもらったところ、今後震度5以上の地震が来たら倒壊することが判明。我が家は住宅密集地にあるので、万が一、倒壊でもしたら、ご近所にただならぬご迷惑をかけてしまいます。
2つめの理由は、親子が同居していれば、私が亡くなった際、細かい条件はありますが、娘は相続税が8割減額されます。これは大きい。
だとしたらそれを利用しない手はない。そう思いました。
うちの場合、1人娘は独身です。私は懸命に育てたつもりですが、娘は娘で私のような親を持って苦労した面もあるに違いありません。その埋め合わせに、無理なくできることはしておこう、と思いました。
だったら、私亡きあと、娘も暮らせるよう家を建て直そう。そんなわけで84歳にして、無謀ともいえる決心をした次第です。
建て替えにあたっては、あちこちに手すりをつけ、いざというときのために小さなエレベーターもつけました。疲れたらすぐ横になれるよう、書斎と寝室を一体化し、部屋のすぐそばにお風呂やトイレも設けてあります。
玄関を引き戸にしたのも、力がなくても開け閉めしやすく、車いす生活になっても使いやすいように。建て替えたことで隙間風もなくなり、冬は暖かく、夏は涼しくなりました。


















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