これをもとに認可を受けた上限運賃等の範囲で、鉄道事業者は自由に運賃等を定めることができ、その範囲内であれば届出のみで自由に運賃等を設定・変更することができる。たとえば、A駅からB駅までの運賃の上限が300円という認可がされた場合、そのまま300円の運賃としてもいいし、競合他社との競争上250円とすることもできる。
鉄道事業者にとってみれば、需給バランスをにらんで弾力的・機動的な運賃設定をすることができ、休日割引きっぷやなど臨機に割安な運賃や料金を設定することもできることから、経営の自由度の拡大にも大きく寄与することになるのである(なお、在来線の料金については認可制でなく届け出により自由に設定できる)。
割引きっぷで消耗戦の恐れも
ところで、JR北海道の発表によれば、申請した料金額を上限としたうえで、新青森と新函館北斗間につき条件付きで4割引とする割引きっぷを予定しているようである。
すでに初年度の2016(平成28)年は北海道新幹線の赤字が52億円と予測されている。2017(平成29)年も51億円、2018(平成30)年42億円とそれぞれ赤字が続くと予測されている。対東京との関係でも航空機との競争上、料金や運賃の割引きっぷのようなものを繰り出していく必要も生じ得るかもしれないが、ただでさえ赤字が見込まれる状況下で消耗戦に陥り鉄道事業者の体力が失われることになっては元も子もない。
比較的距離の近い対東北や航空機との競合が少ない対北関東との間での需要喚起なども必要になっていくのであろう。それでもやはり、函館市内からもやや離れ、札幌にも相当に遠い新函館北斗止まりのままにするのではなく、一刻も早く札幌まで延伸しないと活路が開けないのであろうか。
鉄道事業法が定めるヤードスティック方式を採用した総括原価方式による運賃等の認可における上限制度は、利用者の負担の適正さを確保するとともに、鉄道事業者の健全な経営の確保と健全な経営努力の促進を目的としている。北海道新幹線の料金が鉄道事業法の精神にそったものになることを望んでいる。
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