織田信長や明治天皇も切り取ったという伝説の香木【蘭奢待】1000年の時を経て蘇った"驚きの香り"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

香りの奥深さを精神的に「鑑賞」し、それを体系化した「香道」が確立されたのもこの頃。複数の香木を嗅ぎ分けたり、香りの組み合わせを当てたりして、教養や感性を試す場として流行しました。

この時代になると、大陸との貿易が盛んになって、質の良い香木が多く日本に上陸します。

力のある武将は高級な香木をコレクションし、兜や甲冑に香りを焚きしめてから出陣したのだとか。室町時代の八代将軍である足利義政は熱心な香木コレクターで、希少価値の高い香木を集めて楽しんだというエピソードも残っています。

鎌倉〜室町時代の香りの文化は、華やかな楽しみ方だけではなく、精神修養や知的な遊具としての側面を強く持っていたようです。

江戸時代になると、香木を扱うお店が街中に誕生し、線香や練り香が庶民にも広がり、幅広い層の人々が香を楽しむようになります。特に線香の普及は画期的で、仏前での供香を気軽に行うことを可能にしました。

明治時代には、海外から「香水」が伝わり、国産のフレグランスが作られるようになります。大正時代以降、合成の香料工業も発展し、化粧品や食品といった様々な分野で香りが利用されるようになりました。近年ではご存じの通り、アロマテラピーやお香が、趣味やウェルネスを促進するアイテムとして再注目されています。

歴史を動かした伝説の香木「蘭奢待」

ところで、香木がどんなものか、ご存じでしょうか。

香木とは、自然の樹木が何十年〜何百年という長い年月を経て、その樹脂が独特の芳香を持つようになったものです。よく知られているものでは、「沈香」や「伽羅(きゃら) 」、「白檀」など。いずれも主に香道や神事で用いられ、1グラムで数万円もする高級な香木も珍しくありません。

そんな香木の中で、日本で最も希少価値が高く、歴史をも動かしたといわれる伝説の香木があります。それが、奈良の正倉院に収蔵されている「蘭奢待(らんじゃたい)」という香木です。

日本最古の香木である蘭奢待は、奈良時代の聖武天皇が大切にしていた遺品の1つ。全長156センチメートル、重量が11.6キログラムもある原木で、沈香の一種です。

蘭奢待は「天下一の名香」とされ、手柄を立てた歴代の権力者にこの香木を切り取って与えたことから、「蘭奢待を手にする者=天下人」という伝説が生まれます。

次ページ織田信長、明治天皇も切り取った
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事