大塚HD、特許切れでも連続上方修正のなぜ 主力製品「エビリファイ」がまだ売れている

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エビリファイは、2002年の米国への投入を皮切りに、世界中で販売されている製品。統合失調症やうつ病、双極性障害などの精神疾患の治療に使われる薬だ。

米国では、売れている新薬が特許切れになると、後発薬への置き換わりが早い。一般的に1年ほどで、8~9割が後発薬に切り替わってしまう。

エビリファイがたどった数奇な運命

エビリファイは2002年に米国で販売を開始。2014年には全世界で6000億円以上を売り上げた

エビリファイも米国で同じ運命をたどるはずだった。2014年にエビリファイは、米国で5225億円を売り上げた。会社側は2015年の見通しについて、2月時点では、同製品の売上高を1800億円(前年同期間比65%減)と、予想していた。

実際に米国での売上高は、4月に後発薬が登場するや急落した。ただ、その落ち込みは想定よりも緩やかで、大塚HDが1800億円と見ていた年間売上高を、8月には1960億円に上方修正。今年1~9月の販売では2105億円(前年同期間比43.1%減)と、その計画すら上回った。

その理由について、会社は「後発薬の浸透が想定より進んでいないため」(大塚HDのIR担当者)と説明する。米国では10月時点で、8社がエビリファイの後発薬を販売している。処方箋の枚数ベースで見ると、エビリファイは特許切れにもかかわらず、約3割のシェアを維持しているのだ。

ただ、エビリファイの後発薬を販売する会社は今後も増える見込み。現に、3社が仮承認で控えている。参入社数が増えれば、一気に価格が下がり、エビリファイのシェアを奪われる可能性が高い。

今回、大塚HDはエビリファイの売り上げ見通しを、従来の1960億円から2240億円へと引き上げたものの、10~12月の販売計画は135億円と、直近の7~9月の半分以下を見込んでいる。

足元は2回の上方修正を行ったとはいえ、大塚HDの置かれた状況は厳しい。今年1月に買収した米国のバイオベンチャー、アバニア・ファーマシューティカルズ社の赤字も懸念要因だ。

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